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黒川元検事長は「起訴相当」 検察審査会が議決

(更新)
東京高検の黒川弘務元検事長=共同

東京高検の黒川弘務元検事長(63)が新聞記者らと賭けマージャンをした問題で、東京第6検察審査会は24日までに、賭博容疑で刑事告発された黒川氏を不起訴(起訴猶予)とした東京地検の処分について「起訴相当」と議決した。議決は黒川氏について「長年賭博行為を続け、規範意識が減弱している」と指摘した。議決は8日付。

地検が今後、再捜査する。黒川氏は賭博行為をしたことは認めており、刑事責任を問うことの妥当性が焦点になる。

黒川氏と当時の産経新聞社記者2人、朝日新聞社社員の計4人は常習賭博、賭博、贈収賄の疑いで告発された。地検は7月、賭博容疑は起訴猶予、常習賭博容疑は犯罪が成立せず、贈収賄容疑は嫌疑なしと判断して不起訴処分とした。市民団体が処分を不服として同月、検察審査会に審査を申し立てた。

検察審は議決理由で黒川氏ら4人の賭けマージャンに関して「頻度や射幸性は決して低くない」と指摘。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の期間中に賭けマージャンに及んだ経緯について「賭博行為に対する規範意識が鈍麻している」と批判した。

東京高検検事長だった黒川氏については「刑事罰の対象となる違法行為を自制し、抑止すべき立場にあった」と言及。起訴の可否を巡る判断では、賭けマージャン問題が「社会の信頼を裏切り、大きな影響を与えたことが重要」という見方を示し、起訴するのが相当と結論づけた。

また検察審は黒川氏と賭けマージャンをした新聞記者ら3人の賭博容疑について「長時間の賭けマージャンに及んだ動機や事情が判然としない」として不起訴不当とし、再捜査を求めた。

審査を申し立てた市民団体の岩田薫さんは24日、議決を受けて都内で記者会見し「身内に甘い処分だと思っていた。検察官は市民感情に照らして捜査し、起訴してもらいたい」と話した。東京地検の山元裕史次席検事は定例記者会見で「議決は真摯に受け止め、適切に対処したい」と述べた。

地検などによると、黒川氏は今年4月13日~5月14日に計4回、新聞記者の自宅で記者ら3人と1千点を100円に換算するレートで賭けマージャンをしたとされる。各回1万~2万円程度の現金のやりとりがあったという。

黒川氏ら4人は地検の任意の事情聴取に対しいずれも賭博行為を認めた。地検は4人を不起訴とした理由について「賭けられた金額は多額ではなく、娯楽の延長線上だった。(黒川氏は)辞職し、報道機関の社員らも社内処分を受けた」と説明していた。

黒川氏は2月に定年退官する予定だったが、1月に政府が異例の閣議決定で定年を延長。しかし賭けマージャン問題で5月に辞職し、内閣などの判断で検察官の定年を延ばせる検察庁法改正案も廃案とされた。新聞記者ら3人もそれぞれ懲戒処分を受けた。

議決2回で強制起訴 市民感覚反映、無罪判決も

検察審査会は市民の代表として、検察の不起訴処分が妥当かどうかをチェックする役割を担っている。司法制度改革の一環で、2009年には審査会が2回にわたり「起訴すべきだ」と判断すると強制的に起訴される制度も導入された。市民感覚の反映が期待される一方、無罪判決も相次いでいる。

審査会は無作為に選ばれた有権者11人で構成する。全国の裁判所に165の審査会が置かれている。被害者や告発人などの申し立てに基づき審査するほか、報道などをきっかけに審査会が職権で審査することも可能だ。

検察から取り寄せた証拠を精査するなどし、検察の判断を妥当とすれば「不起訴相当」、さらに捜査が必要なら「不起訴不当」、起訴すべきなら8人以上の賛成で「起訴相当」と議決する。

検察が再捜査して改めて不起訴としても、審査会の8人以上の賛成で「起訴議決」が出ると、裁判所が選んだ検察官役の指定弁護士が強制的に起訴することになる。

「公開の法廷で真相解明を目指す意義がある」と指摘される一方、対象事件は立証が難しいケースが目立つ。JR福知山線脱線事故や、小沢一郎衆院議員の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件では、JR西日本元社長や小沢氏らが強制起訴されたが、裁判では無罪が確定した。

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