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袴田事件、再審巡る審理を高裁に差し戻し 最高裁

(更新)
袴田巌さん=共同

1966年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件で、死刑が確定した袴田巌さん(84)の第2次再審請求について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は23日までに、再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を同高裁へ差し戻す決定をした。犯行時の着衣とされた証拠物の衣類について、改めて専門的な検討が必要と判断した。

袴田さんは現在、釈放されている。高裁への差し戻しで、再審を巡る結論が出るまでにはさらに時間がかかることになる。

決定は22日付で裁判官5人中3人の多数意見。林景一裁判官(行政官出身)、宇賀克也裁判官(学者出身)は、審理を差し戻さずに再審開始を認めるべきだとする反対意見を表明した。最高検の斎藤隆博刑事部長は「主張が認められなかったことは誠に遺憾。決定の内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

事件は66年6月30日未明に起きた。静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務宅が全焼し、刃物で刺された一家4人の遺体が見つかった。従業員だった袴田さんは同年8月に逮捕され、強盗殺人などの罪で死刑が確定した。

問題となった証拠の衣類は、事件発生の1年2カ月後に工場内のみそタンクから見つかった。死刑を言い渡した確定判決は、衣類を袴田さんのものと認定し有罪の証拠としたが、弁護側は再現実験結果などに基づき「1年以上みそに漬かっていたのに血痕の赤みが強く残り、衣類に染み込んだみその色も薄く、不自然だ」と主張。第2次再審請求の地裁や高裁でも争点になってきた。

第3小法廷は決定理由で、衣類に残った血痕がみそに触れて生じる化学反応に着目。再審開始を認めなかった東京高裁は、この化学反応の影響を「小さい」と判断したが、同小法廷は「審理が尽くされていない」と指摘。改めて高裁で審理するよう求めた。衣類に残っていたDNA型が袴田さんとは別人のものだったとする鑑定を巡っては、別の鑑定結果との食い違いなどを理由に「個人を識別する証拠価値があるとはいえない」と判断した。

第2次再審請求では2014年3月に静岡地裁が再審開始を認め、袴田さんは47年ぶりに釈放された。だが東京高裁は18年6月、一転して地裁決定を取り消した。袴田さん側が特別抗告し、最高裁の判断を求めていた。

事件から半世紀 司法判断、見えぬ決着

「袴田事件」の第2次再審請求は、再び東京高裁で審理される。最高裁は証拠の精査を優先した形だが、事件発生から54年、死刑確定から40年が経過する中、さらに審理が長期化する。一部の裁判官から反対意見も付いた。再審請求の特別抗告審で最高裁判事の賛否が分かれたのは初とみられる。

袴田巌さんは捜査段階で自白したが公判では無罪を主張。死刑が確定した翌年の1981年に始まった第1次再審請求は、再審開始を認めない最高裁決定が出るまでに27年近くを費やした。第2次再審請求も、申し立てからすでに12年が経過している。

今回の最高裁決定では、裁判官5人のうち2人が「再審を開始すべきだ」と反対意見を付けた。「(衣類に残る血痕とみその)化学反応の影響を審理するためだけに高裁に差し戻し、さらに時間をかけることは反対せざるを得ない」としている。

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