河井元法相、買収一転認める 公判で議員辞職表明

2019年7月の参院選を巡り、公職選挙法違反(買収など)罪に問われた元法相の河井克行被告(58)の公判が23日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。元法相は被告人質問で「全体的に選挙買収罪を争うことはしない」と述べ、起訴内容のうち地元議員らへの買収行為を認めたうえで「衆院議員を辞することとしました」と議員辞職の意向を表明した。
これまでの公判で、元法相は買収の趣旨を否認し、無罪を主張していた。公判では現金を受け取った地元議員らの多くが「集票依頼だと思った」などと買収の趣旨で受領した経緯を認めており、元法相がどう説明するか注目されていた。
元法相は弁護側の被告人質問で、起訴内容のうち地元議員らへの提供について「買収を争うことはしない」と述べた。一方、一部の関係者については「差し上げた金は選挙買収に当たらない」と主張した。
この日の公判は午前10時から始まり、証拠調べに続いて弁護側の被告人質問が実施された。被告人質問は4月上旬まで予定されている。
元法相は20年8月の初公判で、地元議員らへの現金提供を大筋で認める一方、「選挙運動を依頼する趣旨ではない」と買収の趣旨を否認し、無罪を主張した。同10月、妻の案里前参院議員(47)=有罪確定=の裁判の証人尋問で出廷した際は「必要なことは自分自身の裁判で話したい」とほぼ証言を拒んだ。
元法相の公判であった証人尋問や供述調書の読み上げでは、計約2900万円の現金が配られたとされる100人のうち、94人が投票の取りまとめの趣旨を認めた。残る6人は「当選祝いだと思った」と買収の意図を否定したり、「現金を受け取ったか記憶がない」などと曖昧な説明をしたりした。
克行元法相は20年6月の逮捕後、東京拘置所に勾留されていたが、東京地裁は今月3日に保釈を認めた。
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