西川・日産前社長「開示嫌なんだと思った」 ゴーン事件

日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(66)の報酬過少記載事件の公判で、社長兼最高経営責任者(CEO)を務めた西川広人氏の証人尋問が24日午前、東京地裁で始まった。西川氏は検察側の証人尋問で、2010年3月期に始まった役員報酬の開示制度について元会長が否定的だったと明かし、「自らの報酬が開示されることが嫌なんだろうと思った」と証言した。
西川氏は捜査中であることなどを理由に事件を詳しく説明することは少なかったが、公判で報酬隠しについての認識や日産内部のガバナンスの実態などをどう証言するかに注目が集まっていた。
同日午前10時、黒っぽいスーツに紫のネクタイ姿の西川氏は東京地裁の104号法廷に出廷。ゴーン元会長の報酬を巡る検察側の質問に淡々とした様子で答えた。
海外逃亡したゴーン元会長が不在の中、公判は金融商品取引法違反罪に問われた元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(64)の審理が進む。起訴状によると、元会長ら2人は共謀し、2011年3月期~18年3月期の元会長の役員報酬計約91億円を日産の有価証券報告書に記載しなかったとされる。金商法の両罰規定に基づき、法人としての日産も起訴された。
検察側の冒頭陳述によると、ケリー元役員は元会長の報酬支払いに関する複数の契約書を作り、西川氏も11~15年に3回署名した。関係者によると、西川氏は捜査段階で「正確な意味合いを理解しないまま署名した」などと供述。東京地検特捜部は刑事告発を受けて西川氏の刑事責任を検討し、19年4月に嫌疑不十分で不起訴処分とした。
またゴーン元会長は海外逃亡後、一連の事件について西川氏らの名前を挙げた上で「事件は陰謀」などと主張した。西川氏が特捜部の捜査のきっかけとなった日産の社内調査の経緯などについて言及するかどうかも焦点となる。
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