感染抑制に地域格差 関西と愛知改善、首都圏は再増加も

関西3府県と愛知県が23日、緊急事態宣言の前倒し解除を国に求めた。いずれも新型コロナウイルスの感染状況を判断する6指標すべてで「ステージ3」以下となり、政府が掲げる宣言解除の目安はクリアしている。一方、首都圏は新規感染者数が下げ止まり、一部で増加に転じるなど予断を許さない状況が続く。
「宣言は多くの犠牲を伴うが、感染を抑え、医療崩壊を逃れる状況になった」。大阪府の吉村洋文知事は23日、西村康稔経済財政・再生相とオンラインで協議後、記者団にこう訴えた。愛知県の大村秀章知事も23日、「入院患者数はピークから比べると半分になった」と解除要請の理由を西村氏に伝えた。
全国の新規感染者数(7日移動平均)は22日時点で1226.1人とピークだった1月11日(6481.4人)の5分の1以下の水準にまで減った。緊急事態宣言が発令されている10都府県の新規感染者数が8割を占める。この状況で4府県が先行して解除要請に踏み切った背景には10都府県の間で改善状況に差が出ていることがある。


感染状況を判断する指標の一つの「人口10万人あたりの1週間の新規感染者数」は21日時点で首都圏では東京(17人)、千葉(16人)が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」(15人以上)の水準を維持する一方、大阪(7人)、愛知(5人)、福岡(8人)など残りの6府県はいずれもステージ3の水準を下回る。
6府県は新規感染者数(7日移動平均)がいずれも前週比6~7割の水準に減るなど感染状況も順調に改善する。首都圏では千葉が前週比1.2倍の増加に転じたほか、東京、埼玉、神奈川は前週比8~9割と下げ止まりの兆候もみられるのと対照的だ。
内閣官房の資料によると、感染ピーク時に確保を想定する病床に対する使用率も21日時点で関西と中部は全域で「ステージ4」(50%以上)を下回った。重症者病床の使用率が高かった大阪も40%まで改善した。
関西3府県の知事からは「関西の感染状況は関東とだいぶ違う」(井戸敏三兵庫県知事)との声も聞かれる。
今後本格化するワクチン接種や各地で確認が相次ぐ変異ウイルスへ対応するため感染者数のさらなる抑制を求める声も少なくない。24日には新型コロナ対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」が会合を開いて感染状況を評価する。
一方、首都圏では期限の3月7日に宣言を解除できるかどうかも予断を許さない。不安要素の一つが20~30代の感染者数が再び増加に転じたことだ。東京都は21日までの1週間の20~30代の新規感染者数は911人と前週比27人増えた。全体の感染者数が減る中で若者への感染再拡大が懸念される。
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繁華街などの人出も増え、感染対策への緩みが指摘される。首都圏の病床の逼迫具合は21日時点で東京、千葉、埼玉が最も深刻な「ステージ4」相当だ。改善にはさらなる新規感染者数の抑制が不可欠だ。
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