あの頃、もう虚構だった ホームドラマの「伝統的家族」
Discover 70's
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「東京バンドワゴン」シリーズで知られる小説家の小路幸也(59)は、中学生のときの一本のテレビドラマが忘れられない。1974年、北海道旭川市の社宅の一軒家。毎週水曜夜、床の間に鎮座した家具調テレビを両親と姉2人と囲んだ。
頑固な父親がちゃぶ台をひっくり返し、息子との取っ組み合いを家族が止める――。演出久世光彦、脚本向田邦子の「寺内貫太郎一家」は70年代に全盛を迎えたホームドラマのひとつの頂点だ。放...