「IOC、東京五輪中止せず」 最古参のパウンド委員

【ジュネーブ=共同】国際オリンピック委員会(IOC)の最古参委員、ディック・パウンド氏(カナダ)は20日、新型コロナウイルス感染症の再拡大で懐疑論が出ている今夏の東京五輪・パラリンピックについて「IOCに中止するつもりはない。開催できない理由はない」と述べた。世界的な感染状況が収束しない場合は、中止よりも無観客での開催が妥当との考えを示した。
再延期や2024年大会をパリと共催する可能性には困難との見方で否定的だった。感染予防策として、観客を国内在住者に限定することも「確実に一つの選択肢だ」と指摘。3月25日に福島県からスタートする聖火リレーも「リスクが高すぎると思えばいつでも短縮できるし、必要ならば中止もできる」と語った。
開催可否の判断は、昨年に1年延期を決定した3月よりも「後になるかもしれない」として、春以降になると見通した。「3月は冬の終わりで(まだ)ウイルス感染のリスクがある悪い季節だが、4月、5月と良くなる。その兆候もまた励みになる」と期待した。
各メディアの世論調査で今夏開催の見直しを求める声が多数となっていることには「日本の政府当局がもう少し十分に説明していれば、国民の信頼は向上するだろう。正確で科学的に信頼できる情報があるほど良い」とし、具体的な感染症対策の情報共有や丁寧な説明が重要と訴えた。
英BBC放送(電子版)は7日にパウンド氏が五輪開催に「確信が持てない」と発言したと報じたが「開催を保証できるかとの問いに、誰も保証はできないと答えた」と反論。選手へのワクチン接種が優先されるべきだとしていた主張も、医療従事者や高齢者が最優先との見解に修正した。
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