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原発事故避難者訴訟、国の責任認める 東京高裁

(更新)

東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い、福島県から千葉県に避難した住民ら43人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁(白井幸夫裁判長)であった。一審・千葉地裁は国の責任を否定したが、高裁は国と東電双方に賠償を命じた。

国の責任が問われた同種訴訟の高裁判決は3件目。2020年9月の仙台高裁判決は責任を認める一方、21年1月の東京高裁判決(一審・前橋地裁)は否定。今回の判決は国の責任を認める2件目の司法判断となった。

一連の訴訟では、三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8級の地震が起きる確率を「30年以内に20%」とした政府機関の長期評価(02年公表)に基づく巨大津波の予見可能性や原発事故の回避可能性が争われてきた。

3月11日に事故から10年を迎えるが、国の責任を巡る法的評価は依然として定まっていない。先行して高裁判決が出た2件の訴訟は上告中で、今後、最高裁が示す判断が注目される。

白井裁判長は判決理由で、長期評価について「相応の科学的信頼性がある知見だ」と指摘した。

長期評価を前提とすれば「国は15・7㍍を超える津波が到来する危険性を認識できた」とし「防潮堤を設置したり建屋などが浸水しない措置を講じたりしていれば、津波の影響は軽減でき、全電源喪失の事態には陥らなかった」と判断。電気事業法に基づいて改善の命令を出さなかったのは違法だと結論づけた。

賠償金の算定については、避難生活に伴う慰謝料とは別に、地域での生活基盤を失ったことへの賠償責任があると言及。帰還の是非を検討すること自体も精神的損害と言えると指摘した。

千葉地裁は東電のみに約3億7000万円の賠償を命じていたが、東京高裁は既に支払われた金額を差し引くなどして賠償額を約2億7000万円と算定。うち約1億3000万円については国と連帯して支払うよう命じた。

17年9月の千葉地裁判決は、長期評価によって「国は遅くとも06年までに10㍍超の津波が発生しうることは予見できた」と判断。「規制行政庁や原子力事業者が投資できる資金や人材は限られる。想定しうるリスクの全てに資源を費やすことは現実的に不可能だ」として東電の責任のみを認めていた。

原子力規制委員会は「国の主張が一部認められなかったものと考えている。いずれにせよ適切な規制をしたい」とコメント。東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」としている。

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