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保護成功、海鳥の楽園再び 北海道天売島で共生模索

 北海道羽幌町の天売島に飛来した絶滅危惧種ウミガラス(2020年6月、環境省提供)=共同

絶滅危惧種ウミガラスの国内唯一の繁殖地、北海道羽幌町の天売島(てうりとう)が「海鳥の楽園」と言われる姿を取り戻しつつある。流し網漁での混獲などで激減したが、天敵駆除や鳥の模型「デコイ」による呼び寄せで、10年連続でひなの巣立ちに成功。行政と島民が協力して野良猫を捕獲、さらにその飼い主も探すなど共生も模索し、ウミガラス以外の海鳥も増えている。

「人も海鳥も猫もみんなが幸せに」。羽幌町町民課の石郷岡卓哉主査(46)は力を込める。ウミガラスは体長約40センチ。特徴的な鳴き声から「オロロン鳥」の別名があり、黒い体に白い腹の姿から「空飛ぶペンギン」とも言われる。島には1960年代に約8千羽が飛来。だがサケ・マス流し網漁による混獲や餌不足で激減し、環境庁(現環境省)は97年に国内初の海鳥専門施設「北海道海鳥センター」(同町)を開設。2002年には13羽まで落ち込み、同省は03年にウミガラスの本格的な保護に乗り出した。営巣地の崖に誘導しようと、デコイや鳴き声が流れるスピーカーを設置。ハシブトガラスなどを空気銃で駆除した。

昨年は飛来数65羽、巣立ったひなは24羽でともに過去20年で最多。同省の平田つかさ自然保護官(28)は「育ったひなが島に戻り、繁殖に参加するサイクルができた可能性がある」と話す。

海鳥のひなを襲う野良猫も消えつつある。切り立った崖に巣を作るウミガラスの被害はなかったとみられるが、ウミネコの巣は1987年の約3万カ所から2013年に998カ所まで減少。島が世界最大の繁殖地のウトウも被害を受けた。

町は野良猫の捕獲で「アカガシラカラスバト」の個体数の回復につなげた小笠原諸島(東京都)での例を参考に、天売島民と協力して14~17年に計130匹を捕獲。猫は殺処分せず、海鳥センターなどで人に慣らし「天売猫」の愛称で、譲渡会で引き取られた。野良猫は5匹以下に減り、近年は子ネコの目撃情報はない。19年にはウミネコの巣は2616カ所に回復した。

町などは「羽幌シーバードフレンドリー推進協議会」を発足させ、海鳥に配慮した事業者を対象にした認証制度を導入。制度を軌道に乗せようと昨年11月にふるさと納税を活用したクラウドファンディングを始めたところ、わずか約1カ月で目標の200万円を集めた。

海鳥保護には個体数や繁殖数の変化といったデータ収集など、息の長い取り組みも必要だ。山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の富田直樹研究員(42)は「海鳥が暮らす地域で住民と地方自治体が情報共有しながら、モニタリングや保護を進めることが重要だ」と指摘している。〔共同〕

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