建設石綿訴訟で厚労相謝罪 「責任感じ深くおわび」
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建設現場でのアスベスト(石綿)による健康被害を巡る訴訟で、規制を怠った国の責任を認める司法判断が最高裁で確定したことを受け、田村憲久厚生労働相は18日の閣議後記者会見で「原告の方々に対しては、責任を感じ、深くおわび申し上げたい」と謝罪した。
最高裁第1小法廷は14日付で国の上告を受理しない決定をし、原告327人に計約22億8千万円を支払うよう国に命じた二審・東京高裁判決が確定した。原告や弁護団は17日に東京都内で記者会見し、国に謝罪と早期の被害救済を求めていた。救済対象には企業に雇われていた労働者に加え、「一人親方」と呼ばれる個人事業主らも含まれている。
提訴から12年半が経過したことについて、田村厚労相は「国として重く受け止めなければならない」と述べた。
同種訴訟は首都圏や大阪、福岡など全国で起こされ千人超が参加。今後の対応は「東京高裁の判決内容を精査した上で考えなければならない」と述べるにとどめた。
原告側は建材メーカーにも賠償を求め、来年2月に最高裁で弁論が開かれる。
石綿被害を巡っては、元石綿工場労働者が原告になった泉南アスベスト訴訟で2014年、国の責任を認める最高裁判決が出たことを受け、当時の塩崎恭久厚労相が謝罪。その後、厚労省は一定の条件を満たせば訴訟での和解に応じて賠償金を支払うとしている。〔共同〕