元農水次官の懲役6年確定 長男刺殺、双方上告せず
東京都練馬区の自宅で2019年6月、長男(当時44)を刺殺したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官、熊沢英昭被告(77)を懲役6年とした東京高裁判決が17日、確定した。期限の16日までに弁護側、検察側双方が上告しなかった。
弁護人によると、既に収監手続きを終えており、東京拘置所に収容されたとみられる。被告は同年12月、一審東京地裁の裁判員裁判判決後に保釈されていた。
控訴審で被告側は正当防衛が成立するとして無罪を主張したが、今月2日の高裁判決は「長男から危害を受ける現実的な危険が差し迫っていたとは言えない」と退けた。その上で、被告が発達障害の長男を長年献身的に支え続け、事件6日前に激しい暴行を受けたことを考慮しても「量刑が重すぎて不当とは言えない」として、被告側の控訴を棄却した。
判決によると、19年6月1日、自宅で長男英一郎さんの首などを包丁で多数回突き刺し、失血死させた。
被告は1967年に農林省(現農水省)に入省。2001年に事務次官に就任し、02年に退官した。〔共同〕