河野氏「先行接種は医療従事者4万人」 17日開始
河野太郎規制改革相は16日午後5時40分から記者会見し、17日から医療従事者向けに新型コロナウイルスのワクチン接種を始めると説明した。まず国立病院機構など100の医療機関の医療従事者約4万人を対象に先行接種する。河野氏は「コロナ対策の切り札といわれるワクチン接種が始まる。多くの方に接種していただくことを期待したい」と述べた。
接種が始まるのは米製薬大手ファイザーのワクチン。政府は同社との間で2021年中に1億4400万回(7200万人)分の供給契約を結んでいる。厚生労働省は国内の臨床試験(治験)で有効性と安全性を確認し、14日にワクチンの製造販売を特例承認した。医療従事者、65歳以上の高齢者、基礎疾患のある人ら、60~64歳の人、一般の人の順に接種が行われる。
1人あたり2回接種を原則とし、先行接種対象者の2回目の接種は3月10日以降となる見通し。先行する100医療機関では来週までには接種が始まるという。
先行接種の対象者は約4万人となる。国は当初1~2万人とみていたが、希望する人が想定より多かったという。先行接種後、それ以外の医療機関の医療従事者らへの優先接種を行う。
厚労省は優先接種対象の医療従事者を約370万人と見込んでいる。河野氏は「都道府県から報告が上がってくる医療従事者数に応じて、各都道府県に配分するワクチン量を今週中にも決めていきたい」と説明した。
ワクチンの第1便は12日にベルギーから成田空港に到着した。河野氏は欧州連合(EU)から承認が下り、第2便は来週にも到着するとの見通しを示した。
ファイザーのワクチンは極低温での保管が求められる。河野氏は先行する100医療機関はいずれも非常電源を備えており、地震などの災害時も冷凍状態を維持できるとの見方を示した。
医療従事者の後、4月以降に始まる高齢者向け接種では、各自治体での確実な輸送・管理体制の確立が大きな課題になる。河野氏は「問題が起きないよう、立ち上がりは少しゆっくりめにやっていきたい」と説明した。
河野氏は高齢者向け接種が始まる時期について「4月から」とするにとどめ、それ以上具体的な日時は明らかにしなかった。理由を「高齢者の接種スタートにあたって(ワクチンの)弾切れを起こさないことが大事。それなりに在庫を積み上げた状態でスタートしなければならない」と述べた。
自治体での準備状況を聞かれると「それなりに進んでいるところもあれば、まだというところもあり、若干ばらつきがある」と指摘。必要な費用は全額国が負担するとして「財政的な面で心配なくやっていただきたい」と語った。
一般向けの接種時期については「高齢者接種に実際にどれくらいかかるか、もう少し自治体の準備状況が見えないとなんとも申し上げられない。少々お待ちいただきたい」として明言を避けた。「どこの自治体もやったことがない大規模接種で、万全という回答ができなくて当たり前と思わなければならない」とも述べた。

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