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緊急事態地域の客はお断り 自治体主導、差別の恐れ

静岡県御殿場市が飲食店向けに配った「一見さんお断り」と記したポスター(御殿場市提供)=共同

「首都圏からの利用はご遠慮ください」。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言を再発令される地域が増える中、対象外地域の自治体が、宣言地域の住民に「来ないで」と呼び掛けるケースが出ている。インターネット上では「差別だ」「やむを得ない」などと賛否両論。専門家は「行き過ぎは差別を助長し、感染防止にも悪影響になる」と警鐘を鳴らす。

中央に大きく書かれた「一見さんお断り」の赤い文字。静岡県御殿場市が地元飲食店向けに配布したポスターだ。お断りの対象は「主に該当地域からのお客様等」としているが、実質的には首都圏の1都3県を指しているように読める。

市は作成理由について、もし感染が判明すれば常連客より一見客の方が経路追跡が難しいためと説明。店側から要望があったとも明かし「差別の意図はなく、市民を守るため」としている。

ポスターはSNS(交流サイト)などで話題になり「市民の命が大事」「差別」「役所がやるのは良くない」など多くの声が上がった。市役所にも意見が50件以上寄せられたという。

新潟県十日町市は9日から、市内の温泉施設を首都圏の住民が利用することを制限。入館時に運転免許証などで住所を確認している。数人の入館を断ったという「千手温泉 千年の湯」担当者は「心苦しいが市の決定に従うだけ」と話した。

市は、その他の宣言地域も対象に加えるかどうか検討中で「客は地元の高齢者が多い。入浴時はマスクを外すため、感染の可能性が高まる」として理解を求めた。

昨年の緊急事態宣言発令中は、徳島県三好市が県外ナンバーの車を持つ県民向けに「徳島県内在住者です」と記された画像をダウンロードし、車に貼るよう呼び掛けた。しかし「差別助長」と批判が相次ぎ、画像削除に追い込まれた。他の自治体でも域外の客を断る動きが出て、一部で嫌がらせなどにもつながった。

福島県立医大の前田正治教授(災害精神医学)は自治体によるこうした呼び掛けについて「科学的根拠は疑問」とする一方で「飲食店の経営も厳しい。感染が拡大する中、なじみの客を守る窮余の策なのだろう」と一定の理解も示した。

前田教授は東京電力福島第1原発事故後、被災者の心のケアを担った。被災者が心ない差別を受けたことを念頭に「先入観でラベリングし、いわれのない差別をするのは危険。行き過ぎれば感染者が名乗り出られなくなるだけでなく、医療従事者もコロナの現場に入って行けない社会になる」と指摘している。〔共同〕

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