今週にも後任会長選定へ 五輪組織委

辞任を表明した東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の後任について、組織委が今週にも選定する方向で調整していることが、関係者への取材でわかった。五輪開幕まで半年を切り、観客の受け入れ上限の決定など課題は山積している。早期に新たな体制への移行を目指し、準備を急ぐ。
アスリート出身者ら理事会メンバーで構成する「候補者検討委員会」(委員長・御手洗冨士夫名誉会長)で候補者選びを本格化させる。組織委の武藤敏郎事務総長は12日の記者会見で「1人の候補者を選んでもらうことが望ましい」と話した。審議過程は選考後に明らかにする方向だ。
組織委は後任候補として、五輪やパラリンピックに関わった経験があり、男女平等などへの意識が高い人を想定。大会関係者からは女性や若い世代の登用を求める声が上がっている。候補者として五輪出場経験のある橋本聖子五輪相のほか、DeNA(ディー・エヌ・エー)の南場智子会長を推す声がある。
組織委は候補者を絞り込んだ後、今週か、遅くとも来週のうちに理事会を開き、後任会長を選定したい考え。定款上、会長は理事から選ぶことになっている。検討委が理事以外の候補者を選んだ場合、理事会の前に評議員会を開いて理事に選任する必要がある。
女性を蔑視した発言で国内外から強い批判を招いた森氏は、12日に責任をとって辞任すると表明した。森氏は11日に川淵三郎・元日本サッカー協会会長に後任会長への就任を要請し、川淵氏はいったん受諾。しかし不透明な選考プロセスに反発が高まり、川淵氏は12日に辞退した。森氏は理事会の承認を経て正式に会長職を退く。
新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、組織委は安全な大会開催に向けた対策の具体化が急務となっている。規模縮小も検討している聖火リレーはスタートが3月25日に迫り、同月をめどに国内外からの観客をどの程度受け入れるかの方針を決める必要もある。
五輪開幕までの時間が限られるなか、国際オリンピック委員会(IOC)のほか、各競技団体や政府、自治体などと多岐にわたる調整が必要になる。業務の停滞は許されず、組織委はトップ不在の期間をできるだけ短縮して大会への影響の抑制を図る。
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