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調布の道路陥没、原因は土砂の取り込みすぎ 有識者委

東京都調布市の道路陥没現場(2020年10月)=共同

東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事現場付近で起きた道路陥没事故で、東日本高速道路は12日、特殊な地盤下で掘削機(シールドマシン)に支障が生じ、土砂を取り込みすぎる施工ミスが原因との調査結果をまとめた。工事で緩んだ地盤の補修を進めるほか、家賃の減収分の補填など通常よりも幅広く補償対象にする方針。

地表に影響は出ないとされていた地下40メートルより深い「大深度地下工事」の施工ミスが明らかになったことで、リニア中央新幹線など他の同種工事でも再発防止策などが必要になる可能性もある。

補償では健康被害の治療費なども対象とする方針。同社関東支社の加藤健治建設事業部長は「重大な社会的影響を生じさせている。不安を解消しなければならない」と話した。

東日本高速などが設置した有識者委員会が同日、報告書をまとめた。陥没や空洞が発生したメカニズムは①回転不能に陥った掘削機のカッターの復旧過程で掘削機内に想定していない土砂が流入し地盤に緩みが生じた②復旧後、緩みが残ったまま掘削した結果、土砂を取り込み過ぎた――と説明した。あらかじめ空洞があった可能性は低いと結論づけた。

掘削機はカッターが回転して土を削りながら地中を前進する。掘削していた地盤は「東久留米層」と呼ばれる砂層と小石が積み重なった礫(れき)層で、カッターへの負荷が大きかった。振動に住民から苦情が相次ぎ、2020年8月26日から作業時間を午前8時~午後8時に限定した。作業休止中、掘削機内の土砂が固くなってしまう現象が頻発し、カッターが動かなくなった。

掘削機が取り込む土砂の量は「掘削断面体積のプラスマイナス10%」との基準が設定されていた。土砂量は土と添加材が混ざった状態を前提に計算していたが、実際には添加材をすべて回収できていなかったため、土砂量が過小評価され、土砂の取り込み過ぎにつながった。

再発防止策として土砂量の管理を3段階で行い、基準をプラスマイナス10%から同7.5%に設定するなど厳格にする。

事故は20年10月18日午前9時半ごろ、工事現場付近の住宅街の市道で起きた。

これまでに陥没地点付近の3カ所で空洞が発見されたほか、日本経済新聞が衛星解析技術を持つイタリアのTREアルタミラから入手したデータで、工事直後にトンネルの真上以外でも2~3センチメートル程度の沈下と隆起が起きていたことが判明している。

有識者委は原因究明のため、周辺でボーリング調査などを実施してきた。今年度末にも再発防止策を含めた最終報告をとりまとめる方針。

鈴木毅彦東京都立大教授(地形学)の話 具体的な陥没メカニズムが分かったことは前進で、内容も妥当だろう。報告では周辺は特殊地盤だったとしているが、これから工事するエリアも同じ性質の地盤が広がっている。もろい地盤で掘削が難しい。同じように工事を進めれば同じ事故が起きる可能性があり、注意深く対応する必要がある。

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