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東日本大震災から10年 インフラ・産業、復興の現状は

東日本大震災は3月11日、発生から10年となる。壊滅的な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の沿岸部は交通インフラがほぼ復旧。基幹産業の水産業の復興に加え、ロボットなど新産業の集積も進んでいる。

2020年11月に小泉海岸ー本吉津谷インターチェンジ間が開通した三陸沿岸道(20年12月、宮城県気仙沼市)

道路・鉄道、震災前の水準に

交通インフラはほぼ震災前の水準に戻った。復興庁によると、2020年9月末時点で直轄国道は1161キロメートルが開通し、完全復旧。県や市町村が管轄する道路も99%まで復旧工事が完了した。国が進める自動車専用道の復興道路・復興支援道路(総延長584キロ)も完成が近づく。東北地方整備局によると、20年12月までに約8割の458キロが開通した。

東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で一部不通となっていたJR常磐線は20年3月、富岡(福島県富岡町)―浪江(同県浪江町)間の約20.8キロメートルが開通。9年ぶりに全線で再開し、首都圏と東北を結ぶ大動脈が復活した。

富岡―浪江間を走るJR常磐線の列車(20年3月)

防潮堤・護岸、7割整備

沿岸部は津波で大きな被害が出た。国は20年度末までに青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県621地区で防潮堤や護岸の整備を終える方針を掲げ、同年9月末までに計画の7割超が完成した。

工事が進む防潮堤(20年12月、岩手県大槌町)

福島沿岸部、企業投資に沸く

福島県の太平洋沿岸部(浜通り地区)では、原発災害地を中心とした市町村への工場やオフィスの新増設は震災後の累計で約390件になった。企業集積の中核は国と県が整備した「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市)だ。約50㌶の敷地にドローンの飛行実験場、救命ロボット用の模擬災害現場など大小20余りの施設をつくった。テラ・ラボ(愛知県春日井市)は大規模災害時に上空から情報を収集する固定翼ドローンの開発を目指す。

テラ・ラボは長距離飛行が可能な固定翼ドローンを開発する(20年12月、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールド)

ただ、企業進出の増加は国や県の補助金の効果も大きい。最大50億円の工場建設への助成金のほか、土地の年間賃料が1平方㍍あたり100円という破格の条件の工業団地もある。震災から10年の節目を迎え、今後は地域の自立が問われそうだ。

岩手沿岸、育てる漁業に活路

岩手県によると、沿岸部で主力の水産業は震災で5649億円の被害が発生。漁獲量の回復も鈍く、18年度は10万トンと、震災前3年間の平均の61.6%にとどまる。本州有数の漁獲量を誇る秋サケの記録的な不漁が復興の足かせになっており、育てる漁業への転換で漁協の経営安定化を目指す。

新おおつち漁業協同組合(大槌町)は日本水産(ニッスイ)と組み、海で育てるニジマス「トラウトサーモン」とギンザケの養殖に挑んでいる。吉里吉里地区沖に設置した直径25メートルの円形のいけす2基に、それぞれの稚魚を5万匹ずつ放しており、2021年夏に計200トン以上の水揚げを見込む。平野栄紀組合長は「海が以前と変わってきて秋サケ漁に頼れなくなっている以上、生き残るには新たな漁業に挑戦していくしかない」と話している。

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