未受精イネ「甘い粒」生成 広い地域で砂糖作り可能に
受精しなかったイネには、米の代わりに砂糖水の詰まった粒ができることを、中国・福建農林大の笠原竜四郎教授(植物生理学)や名古屋大のチームが発見し、英科学誌に発表した。
栽培地域の限られるサトウキビやテンサイといった砂糖の原料作物と違い、イネはさまざまな環境で育つため「砂糖イネ」が実用化できればより広い地域で製糖が可能になると期待される。
笠原教授は「砂糖は食用だけでなく、バイオエタノールやバイオプラスチックの原料になる。世界各地で作ることができれば相当なメリットだ」と強調する。
花を咲かせる植物は一般に、受精するとめしべの「胚珠」という部分が膨らんで種ができる。笠原教授らは以前、アブラナ科のシロイヌナズナで、受精しなくても胚珠が膨らむ現象を発見。イネではどうかを調べた。
イネは、自分の花粉でも受精できるため、未受精になることはめったにない。そこで遺伝子を自在に改変できるゲノム編集の技術を使って、受精できないイネを作った。すると胚珠が米と同程度に膨らむことを確認。胚珠の中身を調べると20%前後の「ショ糖」を含む砂糖水だった。
同じイネ科で収量の多いトウモロコシなどでも、砂糖水の詰まった粒ができる可能性があるという。〔共同〕