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感染者の復帰、詮索や追及はNG ハラスメント該当も

職場など身の回りで新型コロナウイルスの感染者が出た際、回復して復帰する人への対応には配慮が求められる。面白半分で経緯を聞いたり、犯人扱いしたりすればハラスメントに該当する恐れもある。受け入れる際の心構えとして、専門家は「詮索や責任追及をせず、共感を示すことが重要」と話す。

「思い出したくもないのに、興味本位で症状を聞かれた」。2020年夏、新型コロナに感染した東京都内の20代の男性会社員は振り返る。症状は軽く、3週間の在宅勤務を経て職場に復帰した。

会社は匿名で感染者発生の事実を社内外に公表。人づてに名前が広がったとみられ、別部署の社員から「大丈夫か」と連絡が相次いだ。濃厚接触者になった同僚らは「気にするな」と言ってくれたが、復職後に症状や経緯を根掘り葉掘り聞いてくる人もいて困惑した。

都内に住む30代の女性が勤める会社では年明け、「緊急周知」と題した通知がメールで全社員に届いた。陽性者が社内で確認されたことや、勤務地、部署が書かれていた。誰が感染したのか詮索する噂話が広がり、女性は「まるで犯人捜し。もし自分が感染したら職場に居づらくなってしまうだろう」と懸念する。

法務省人権擁護局に寄せられる新型コロナに関する人権相談では「上司に職場用のSNS(交流サイト)上で感染したことを広められ、自宅に嫌がらせの電話がかかってくる」との相談もあったという。

新型コロナの感染拡大が始まってから1年近くが経過。厚生労働省によると、退院したり、自宅などでの療養が解除となったりした人数は7日時点で21万人を超えた。身の回りで感染者が出ることも珍しくはなくなっている。

感染した従業員らの職場復帰の目安について、日本産業衛生学会(東京)などは▽発症後少なくとも10日経過▽解熱後に少なくとも72時間が経過し、せきなどの症状が改善傾向にある――の2点を挙げている。医療機関の負担が増えるのを避けるため「陰性証明書」などの提出を求めることは控えるよう呼びかける。

東京商工会議所は会員企業の要望を受け、職場で感染者が出たときの対応指針をまとめた。「感染=悪いこと」と決めつけず、ネット上で自社や感染者に関する風評被害が発生していないか確認することなどを挙げた。同商議所広報部の吉野陽課長は「感染者のプライバシーを守りつつ、情報開示をするバランスが必要」と話す。

日本産業カウンセラー協会(東京)のシニア産業カウンセラー、伊藤とく美さんは「回復者の居心地を悪くする言動はハラスメントに当たる。感染者を加害者扱いしてはいけない」と注意を促す。感染の経緯を詮索するのではなく、復職を歓迎する言葉をかけて共感を示すことが大切という。職場の動揺や不安を防ぎ、安心して働けるように、感染防止策を徹底することや相談体制を充実させることも重要だとしている。

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