コロナ接触アプリ障害、11月にネットでミス指摘

新型コロナウイルス対策で厚生労働省が推奨するスマートフォンのアンドロイド版アプリ「COCOA(ココア)」が昨年9月以降、陽性者との接触を通知できなかった問題で、障害の原因となったプログラムミスが昨年11月末にインターネット上のサイトで指摘されていたことが4日、分かった。厚労省は今年1月まで把握できず「対応は開発業者に委託している」としている。障害を洗い出す動作試験ではミス部分をチェックしていなかった。
情報通信工学が専門の森井昌克神戸大教授は「厚労省の責任で広めているアプリなので、業者に任せきりにすべきではない」と指摘している。
ミスが投稿されたのは、大量のプログラム情報がやりとりされ、多くの技術者が閲覧するサイト「GitHub」(ギットハブ)。公開、共有したプログラムの問題点を指摘してもらい、改善につなげる。厚労省も「アプリ機能の改善を図るため公開している」と説明している。
このサイトで昨年11月末「(ココア)アンドロイド版では接触が検知されることはないと思われます」と匿名の投稿があり、12月にはミスの分析も掲載された。
昨年末以降、アンドロイド版の不具合がツイッターなどで話題となり、業者が調査を開始。業者は今年1月、厚労省に不具合の発生と昨年11月の指摘について報告した。
接触者調査のためアンドロイドは端末同士の接触を記録する仕組みを備えており、ココアはここから情報を引き出して濃厚接触の有無を判定、通知する。ミスにより正しく情報を引き出せず、すべての接触を「濃厚接触ではない」としていた。
昨年9月末の動作試験は「濃厚接触があった」との情報を直接ココアに送って実施しただけ。アンドロイドから情報を正しく引き出せるかどうかは確かめていなかった。〔共同〕