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知っておきたいコロナワクチン接種 高齢者向け始まる

(更新)

新型コロナウイルス用として国内で初承認された米製薬大手ファイザー製ワクチンは、4月12日から高齢者を対象とした優先接種が始まった。これまでは医療従事者を対象に接種していたが、一般の高齢者に接種が広がることになる。今後の接種スケジュールやどこで接種を受けられるのか、ワクチンの副作用など注意点をまとめた。

様々な治療薬の開発が続いているが、新型コロナウイルスの感染者を劇的に改善するような「特効薬」は現時点では存在しない。ワクチンの接種が不可欠だ。ワクチンはウイルスの一部から作られ、感染する前に接種すれば体を守る抗体などができる。抗体があれば感染しても発症しにくくなる。重症化したり亡くなったりする人も減らせる。人口の大半が接種して免疫を獲得すればウイルスの流行が収まる「集団免疫」が実現できる。ロックダウンのような大規模な経済活動の制限をしなくてすむと期待される。

政府は昨年12月に公布した改正予防接種法に基づき、「臨時接種」という位置づけで新型コロナのワクチン接種を進める。費用は全額公費で自己負担は生じず、無料で受けられる。

ファイザー製のワクチンについて、2月17日から医療従事者約4万人を対象に先行接種が始まった。ここで安全性を改めて確認した上で、3月から医療従事者約480万人、4月12日以降に65歳以上の高齢者3600万人に優先接種を行う。1人2回ずつの接種で3カ月以内に終えることを目標にしているが、ワクチン確保の遅れなどで、7月までずれ込みそうだ。

ワクチンは6月中に高齢者が2回接種できる量を自治体に供給する。一般への接種は6月以降と見込まれるが、世界中でワクチン確保競争が激化しており、ワクチンの供給量など不透明な部分も多い。スケジュールが大きく変更される可能性もある。

医療従事者や高齢者らの接種が終わった後、基礎疾患(持病)がある人が優先接種の対象になる。新型コロナに感染した場合、重症化しやすい病気を中心に国がリストを公表している。体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が30以上の肥満の人も重症化リスクが高いとして優先接種の対象となった。

基礎疾患の有無などを証明する書類は不要で、接種会場で医師に説明するだけでよい。ほかに重い精神疾患や知的障害がある人も優先接種の対象に追加した。死亡や入院のリスクが高いことが判明したためで、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳を持つ人などを想定している。

高齢者や一般への接種には、市町村が発行する「接種券」が必要になる。住民票のある自治体での接種が原則だ。単身赴任などのやむを得ない事情があれば、他の自治体で受けることも認められる。

ファイザー製のワクチンは、マイナス70度前後での厳格な管理が必要になる。同社製のmRNAワクチンは熱に弱く壊れやすいからだ。ファイザーは3月1日、添付文書を改訂し、マイナス20度前後で最長14日保存できると追記した。一般的な医療用冷凍庫などでしばらく保存可能なため、接種計画が柔軟に策定できるようになる。解凍後は5日以内に接種する必要がある。ワクチンを保管できる「超低温冷凍庫」(ディープフリーザー)が配備された大規模病院や公的施設での集団接種が検討されているが、東京都練馬区のように配送体制を整えて、身近なかかりつけ医で接種できるようにする自治体もある。

1月27日に厚生労働省と川崎市が合同で行った集団接種会場の運営訓練は、学校体育館のバスケットコートほどのスペースで行われた。受け付けから接種まで13~26分かかり、待機スペースでの滞留が生じたケースもあった。同規模の会場で、例えば1日10時間接種を行えば、約300人ほどにワクチンを打てる計算という。

接種会場では当日の体調や基礎疾患の有無などを「予診票」に記入する。医師は予診表や問診などで接種が可能か判断する。厚労省が作成した自治体向けのワクチン接種の手引などは「接種不適当者」として37.5度以上の発熱のある人や、重い急性疾患の人などを例示している。これらに該当すると接種は受けられない。

もっとも起きる恐れがある副作用は注射した部位の痛みで、6~9割の人にみられた。ただ米ニューヨーク州立大学などの研究によると、日常生活に支障をきたすほどの痛みは1%未満にとどまる。ほかには赤みや腫れ、倦怠(けんたい)感や発熱、頭痛なども起こる。

厚生労働省によると、国際的な基準に基づき、急激なアレルギー症状であるアナフィラキシーと判断されたケースは、3月21日までに接種した約58万回のうち47件あった。いずれも回復している。米疾病対策センター(CDC)の報告では、発生頻度はファイザー製で100万回あたり5回とされていた。現状では日本は100万回当たり81件と発生頻度が高いが、同省の専門部会は「現時点で安全性に重大な懸念はない」と評価している。

アナフィラキシーでは、じんましんやかゆみ、息切れ、血圧の低下や意識消失などに突然襲われる。早めにエピネフリン(アドレナリン)や酸素を投与すれば深刻な事態になりにくい。副作用(後遺症)が起きた場合、他のワクチンと同様、医学的に因果関係があると国の審査会で認められれば、補償が受けられる。

インフルエンザワクチンは「不活化」というタイプで、ウイルスの表面たんぱく質が入っている。ファイザーやモデルナ製の新型コロナワクチンは遺伝情報物質の「mRNA」を投与する。体内でmRNAからウイルスの表面たんぱく質が作られる。mRNAワクチンは不活化ワクチンと比べて免疫を起こす力が高い。

接種の仕方も違う。インフルエンザは皮下組織に入れる。新型コロナはより深い筋肉まで注射する。皮下注射は成分がゆっくり吸収され、効果が長持ちする。筋肉注射は皮下注射に比べて副作用が少なく、抗体ができやすいとされる。海外では筋肉注射でワクチンを投与するのが一般的だ。ファイザーやモデルナのワクチンも筋肉注射で効果を確認している。日本の承認審査では海外のデータも参考にするため、筋肉注射しなければならない。皮下注射では効果や副作用が筋肉注射と異なる可能性がある。

日本政府は国民全員分のワクチンを確保するため3社と契約している。米ファイザーと米モデルナはmRNA、英アストラゼネカはウイルスベクターと呼ばれるワクチンで、有効性や保管に必要な温度などが異なる。先行するファイザー製は2月14日に国内でも承認された。アストラゼネカ製とモデルナ製は承認を申請中だが、接種の開始時期は未定だ。接種ではワクチンの種類を選ぶことはできない。21~28日の間隔で2回必要になる。

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