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一時金「焼け石に水」 協力金対象外、経営厳しく

政府が2日に表明した新型コロナウイルスの緊急事態宣言延長は、飲食店との取引が多い卸業者や生産者にも衝撃を与えた。支給される一時金額は時短営業の協力金に及ばず、時短を求められながらも協力金や一時金が支給されない事業者もいる。売り上げの落ち込みは厳しく、「補償の検討」を求める声も上がった。

緊急事態宣言で8割減収となった氷卸の後藤商店(1月、名古屋市瑞穂区)

氷卸の後藤商店(名古屋市)の売り上げは1月の緊急事態宣言以降、コロナ前の2割ほどの水準に落ち込んだ。取引先は「錦」や「栄」など市内繁華街にあるバーやスナックで、時短営業や休業に踏み切る店が大半。2日の延長表明に、店主の道旗誠治さんは「もう少しで宣言が解除になると思って頑張ってきたが心が折れそうだ」とつぶやいた。

午後8時までの時短営業を求めた飲食店の取引先を支援するため、政府は緊急事態宣言地域などを対象にした一時金を用意している。「飲食店と直接・間接の取引がある」か「外出・移動自粛要請で直接的な影響を受けた」事業者が対象で、1月か2月の売上高が前年の半分以下になったことが条件。現時点で法人には最大40万円、個人事業主には20万円が支給される。

ただ、道旗さんは「焼け石に水。氷の仕入れ代にもならない」。少しでも経費を抑えようと仕入れ量を減らしているといい「1回お金を渡して終わりでは、多くの取引業者は倒産する」と訴えた。

一時金の支給対象となっている農家や漁師などの生産者からは、時短営業が続くことによる「相場下落」への懸念が強まっている。

「どこまで魚の価格が落ちてしまうのか」。福岡市漁業協同組合玄界島支所の職員、久保田正一さんは頭を抱える。冬の味覚トラフグは昨年12月に1キログラム1万円ほどで取引されていたが、飲食店の需要減により5000円まで下がった。船の燃料代や人件費を賄えずに赤字になることもあり、漁を見合わせる漁師も出始めた。「このままでは島の漁師の生活が苦しい。コロナの一刻も早い収束を願うしかない」

JA宮崎中央(宮崎市)によると、昨年春の緊急事態宣言時は2月まで80万円ほどで取引されていた牛が20万円近く値下がりした。足元でブランド牛の子牛の価格に影響は出ていないが、相場は東京、大阪の市場に左右される。畜産部の担当者は「飲食店の営業時間の短縮や休業が長引いて消費が停滞すると、県内でも値崩れが起きかねない」と気をもむ。

映画館やゲームセンターなどが自治体から依頼されている時短協力は、特別措置法に基づいていないため協力金は支給されない。

都の依頼に応じて午後11時の営業終了を午後8時に繰り上げてきたミニシアター「ユーロスペース」(東京・渋谷)の北條誠人支配人は「またひと月、この状態が続くのか」と漏らす。宣言延長で時短営業も続けざるをえないと判断し、解除予定だった8日以降の上映スケジュールの再調整に追われた。

昨年春の緊急事態宣言時は、休業要請に応じて都の協力金200万円を受け取ったが「今回は1円ももらっていない」。昨年の売り上げは前年比35%減となり、今年に入っても客足は鈍い。厳しい経営が続くなか「補償がないと耐えられない。依頼に応じた事業者への補償を真剣に検討してほしい」と強調した。

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