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ユーロ圏の物価上昇率1%超え 独は2%、金利上昇も

【ベルリン=石川潤】欧州連合(EU)統計局が31日発表した3月のユーロ圏の消費者物価上昇率(速報値)は前年同月比で1.3%上昇した。世界経済の回復を見越してエネルギー価格が上昇しているためで、1%超えはコロナ危機前の2020年2月以来だ。年末には欧州中央銀行(ECB)が目指す2%程度に達する見込みで、金利上昇圧力が高まる可能性もある。

欧州の物価上昇率は20年後半はマイナス圏に沈んでいたが、エネルギー価格のマイナス幅縮小とドイツの付加価値減税終了で年明けに急上昇した。3月はこれまで前年比マイナスだったエネルギー価格がプラスに転じ、物価全体を押し上げた。ただ、エネルギーと食品を除いた上昇率は0.9%で前月より下がった。

国別ではドイツの物価上昇率が2%に達した。欧州でインフレ期待が高まれば、長期金利にも上昇圧力がかかりやすくなる。欧州主要国の長期金利は年明け以降、経済が好調な米国に引っ張られる形でじわり上昇している。物価水準がECBの目標に近づいて緩和縮小観測が高まれば、金利上昇も加速しかねない。

もっとも、ECBは足元の物価上昇は特殊要因に後押しされた一時的なものとみている。ロックダウン(都市封鎖)が続く欧州の主要各国では需要不足の状況が続く。物価上昇率は21年10~12月に2%に達するが、22年は再び1%台前半に戻るというのがECBの見立てだ。

景気回復に先行して金利だけが上昇すれば、政府や企業、家計の借り入れコストは上昇し、景気腰折れのリスクが高まる。ECBは11日の理事会で債券購入のペースを速めることを決定した。金利上昇を抑え込み、緩和的な金融環境を維持していく構えだ。

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