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半導体など供給制約が影 鉱工業生産、再びマイナス

新型コロナウイルス禍からの需要回復に供給制約が影を落としている。2月の鉱工業生産指数は前月比で2カ月ぶりにマイナスとなった。自動車の減産が響き、指数の低下幅は2.1%と最初の緊急事態宣言が出ていた2020年5月以来の大きさだった。世界的な半導体不足に半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災が重なって車の減産は長引きそうだ。

経済産業省が31日発表した2月の鉱工業生産指数(15年=100、季節調整済み)は95.7だった。20年5月の78.7を底に持ち直し、需要増を背景に今年1月は97.8と感染拡大前の20年1月の水準にあと2%のところまで回復していた。

2月も需要が落ち込んだわけではなく、減産は「供給制約が主因」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)。なかでも世界的な半導体不足の影響を受ける自動車工業の生産指数は8.8%の急低下となった。生産指数全体の2.1%の低下のうち6割以上は自動車工業の減産が原因だった。2月13日に起きた福島県沖地震による部品供給の遅れも響いた。

2月の国内生産が前年同月比7.5%減ったトヨタ自動車は「福島県沖の地震で、一部工場で稼働が停止した」という。例えば、20年に刷新した多目的スポーツ車(SUV)「ハリアー」は販売好調だが、一時減産を余儀なくされた。半導体不足の影響が大きかったホンダは33.6%減とさらに大幅に減産した。

経産省が主要企業の生産計画をもとにまとめた車など輸送機械工業の生産予測指数は3月が前月比5.1%、4月は3.2%の上昇だった。3月上旬の調査のため19日に発生したルネサスの工場火災の影響は織り込んでいない。ルネサスは火災前の出荷水準に戻るのに3~4カ月かかるとしており、車生産は計画から下振れする見通しだ。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「自動車は減産ペースの加速が避けられない。鉄鋼や非鉄金属など関連産業にも波及し、生産の回復基調はいったん途切れる可能性が高い」と指摘する。工場火災の影響で「5月ごろから7月ごろに自動車生産の水準はかなり切り下がる」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との見方もある。

エジプトのスエズ運河での大型コンテナ船の座礁やコンテナ不足も国際的な供給網の支障となる。供給制約で需要を満たせない状態が続けばコロナ禍からの経済回復が滞る。

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