20年の鉱工業生産、10.1%低下 回復傾向も低水準

経済産業省が29日発表した2020年1年間の鉱工業生産指数(15年=100、原指数)は、前年比10.1%低下し90.9だった。比較可能な13年以降で最大の下げ幅となった。20年12月単月の指数(季節調整済み)は、前月比1.6%低下し93.2だった。新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた生産は回復傾向が続くが、なお水準は低い。
20年の単月の指数は2月から5月まで大幅に低下した。その後、6月から5カ月連続で回復傾向が続いたが、感染再拡大で2カ月連続のマイナスとなった。生産水準は感染拡大前の1月の水準(99.8)に比べてまだ低い。経産省は基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
12月単月の指数を業種別でみると、ボイラーや原動機などの汎用・業務用機械工業が前月比11.7%低下と大きく落ち込んだ。自動車工業は需要減で生産の回復が一服。同3.0%の低下となった。一方、プラスチックなどの無機・有機化学工業は2.2%上昇、電子部品・デバイス工業が0.7%上昇だった。

主要企業の生産計画から算出した生産予測指数は21年1月に前月比8.9%上昇、2月に0.3%低下を見込む。1月上旬には緊急事態宣言が再発令されており、経産省は「前回の宣言時ほどの落ち込みにはならないとみているが、国内外の経済の下振れリスクには十分注意する必要がある」としている。