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コロナ下、デフレ圧力じわり 物価4年ぶり下落

物価に下押し圧力が続くとの見方が多い

日本経済にデフレ圧力がじわりと強まっている。総務省が22日発表した2020年の消費者物価指数は4年ぶりに前年を下回った。金融緩和による下支えなどで株高が続く陰で、実体経済の需要減少を招いた新型コロナウイルス禍はなお収束が見通せない。企業業績の低迷、賃金の下落といった悪循環につながれば成長軌道への回復が遅れかねない。

消費者物価指数(CPI、2015年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除いて議論することが多い。20年は101.5と前年比0.2%下落した。12月は101.1と前年同月から1.0%下がり、10年3カ月ぶりの下げ幅となった。

20年は年初から春にかけて原油価格が急落した。ガソリンや電気代などエネルギー関連の項目が大幅に下落した。宿泊料は16.7%下がった。年前半は需要の蒸発が響き、年後半は政府の需要喚起策「Go To トラベル」の割引で下げ幅が広がった。

生鮮を除く食料は1.0%上がったものの、11~12月に2カ月続けて前年同月比0.1%下がった。前年割れは13年7月以来だ。みずほ証券の小林俊介氏は「長らく物価上昇率を下支えしてきた食料がマイナス圏にあることは物価の基調の弱さを象徴する」とみる。

日本がデフレ色に染まりきっているわけではない。調理家電などの家庭用耐久財を中心に巣ごもり需要で値上がりした品目もある。電子レンジは21.2%、電気炊飯器は4.9%上昇した。デスクトップ型パソコンが12.8%、プリンターが18.5%、電子辞書が10.0%値上がりするなどテレワーク向け特需もあった。

バブル崩壊後とは異なり、足元は資産デフレにまでは至っていない。金融緩和の効果で株高が続き、不動産も値崩れは起こしていない。

それでも全体としては物価に下押し圧力がかかる状況が続くとの見方が多い。日本経済研究センターが13日公表したエコノミスト36人の経済見通し「ESPフォーキャスト」によると、1~3月期の予測平均は前年同期比0.74%低下。4~6月期も0.24%下がる見通しだ。

まず携帯電話大手の新料金が物価にはマイナスに働く。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は3 月以降、大容量プランで1~2割程度の値下げをする。物価指数を0.5ポイント程度押し下げるとの見方がある。

物価指数を押し下げるGo Toは感染再拡大で一時停止しているが、事業が再開すれば元の傾向に戻るとみられる。SMBC日興証券の宮前耕也氏は携帯値下げやGo To再開を織り込み、21年の物価指数は20年からさらに0.5%下がると予測する。

政府はデフレかどうかの判断で4指標を参考にする。消費者物価指数のほか、経済の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」、企業がモノを生み出すときに必要な賃金を示す「単位労働コスト」、物価の動きを総合的に示す「GDPデフレータ」だ。

単位労働コストとデフレーターの2指標は前年比プラスを保つ。消費者物価について政府は生鮮食品だけでなくエネルギーも除く指数を重視する。この指数でみれば物価は20年に0.2%上がったが、単月では10月以降マイナスが続く。需給ギャップも20年7~9月期まで4期続けて需要不足でマイナスとなっており、全体としてデフレ懸念を拭い去れない状況だ。

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