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財政黒字化、試算なお強気 政府「29年度達成」を維持

政府は21日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を2029年度とする前回(20年7月)の見通しを維持した。政府は25年度の黒字化目標を取り下げない考えだが、新型コロナウイルスの感染再拡大により経済と財政の先行きは一段と不透明感が増している。

試算は同日夕の経済財政諮問会議で示した。政府は前回試算の後に計40兆円規模の財政支出を伴う追加経済対策を閣議決定し、21年1月には新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の再発令に追い込まれた。今回の試算は歳出の拡大を反映して21年度のPB赤字を23.4兆円から40.1兆円に修正した。

ただ、その後は経済対策の効果などを見込んで高い経済成長率が続く前提を置き、25年度のPB赤字は7.3兆円とする前回試算を据え置いた。29年度に0.3兆円の黒字になる。政府は歳出改革によって試算値からさらに毎年1.3兆円の赤字圧縮が可能としており、機械的に当てはめると25年度の赤字は2兆円超になる。

21日に記者会見した西村康稔経済財政・再生相は黒字化について「これまで同様の歳出改革を進めると(見通しより)3年程度の前倒しは視野に入ってくる」と説明。目標を変更せず、まずは感染防止や生活支援に注力する姿勢を強調した。

もっとも3%以上の高い名目経済成長率を21年度以降のすべての年で実現する政府の前提は「甘すぎる」との批判が多い。技術革新などを反映する「全要素生産性」の上昇率は高成長を続けた82~87年度の実績値を当てはめている。毎年編成されている補正予算も考慮せず、2%の消費者物価上昇率も24年度と早期に達成するシナリオだ。

政府はより慎重な「ベースラインケース」も示しているが、こちらではPB赤字が25年度に12.6兆円、30年度でも10.3兆円残る。国と地方を合わせた公債残高は30年度には1327.7兆円に膨らみ名目国内総生産(GDP)の2倍の規模のまま推移する。

経済協力開発機構(OECD)によると21年のPB赤字は日本がGDP比5.3%だったのに対し、米国は9.6%とさらに大きい。ただ、国際通貨基金(IMF)によると20年の日本の債務残高はGDP比で266%と米国の倍だ。

危機を乗り越えるためには大規模な財政出動が不可欠だが、中長期的に財政悪化に歯止めをかける道筋も同時に示さなければ、格付け機関による格下げなどを通じて日本企業の外貨調達コストの上昇など負の影響が出かねない。

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