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ミャンマー政変、国際協調の揺らぎを不安視

「中央銀行の総裁まで辞めさせられたみたいだ」。ミャンマーで起きた国軍によるクーデターを巡り、日銀が情報収集を急いでいる。

1日、ミャンマー国軍はクーデターの強行により立法・行政・司法の全権を掌握した。民主化を主導してきた国家顧問のアウン・サン・スー・チー氏らが拘束された今回の政変では、ミャンマー中銀の総裁も解任。ロイター通信によると、後任には軍事政権下で総裁を務めたタン・ニェイン氏を再任命したという。クーデターの影響は「中銀の独立性」にも及びつつある。

10年前の民主化を機に、高成長を見込んで日本の企業や金融機関が相次ぎ進出したミャンマー。金融制度や市場インフラの整備でも日本の官民が貢献してきた。ミャンマー中銀の基幹システムは国際協力機構(JICA)の協力事業として、NTTデータや大和総研が開発・構築に携わった。

実は日銀との関係も深い。これまでにミャンマー中銀の職員を日銀の本支店に研修で受け入れたり、日銀OBがミャンマー中銀のアドバイザーを務めたりした。

金融協力の枠組みでは「チェンマイ・イニシアチブ」の存在が大きい。金融危機時に外貨準備を多国間で機動的に融通しあい、対外債務の支払いに支障が生じないよう流動性を供給する国際金融の安全網だ。当初は日中韓とインドネシアやフィリピンなど東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国で始まった枠組みだが、後からミャンマーを含む残りのASEAN各国も加わった。

ミャンマーがチェンマイ・イニシアチブに正式参加したのは2010年。黒田東彦総裁が当時、アジア開発銀行(ADB)の総裁を務めていた時期だ。ADBは2日、政変を危惧する声明文をすぐに公表した。「ミャンマーに深刻な後退をもたらしかねない現状を深く懸念している」

米欧諸国はクーデターで成立した軍事政権に対して制裁を視野に入れ、経済的結びつきが強い中国は静観を続ける。民主化の動きが巻き戻されれば、官民投資が停滞する恐れもある。「チェンマイ・イニシアチブはミャンマーにとって国際社会とのつながりを保つ意義がある一方、軍事政権が続けば制度として使われにくくなるのでは」。日銀をはじめ世界の中銀は事態を静観しているが、日銀内では国際協調の揺らぎを不安視する声も出ている。

(南毅郎)

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