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日銀資産、1年で129兆円増 経済下支えも資産バブル懸念

(更新)
新型コロナウイルス対応による資金供給で日銀の資産が膨らんだ

新型コロナウイルス対応による資金供給で日銀の資産が膨らんでいる。2020年12月末時点で702兆円となり、1年前に比べ129兆円増えた。データを開示する1998年以降で最大の増加額。欧米の中央銀行でもコロナ対応の資産購入が膨らんでいる。企業の資金繰りや雇用を下支えする一方で、株高などの局所的なバブルを助長するとの警戒感も高まっている。

日銀の5日の発表によると、資産の伸び率は23%で4年ぶりの高さだった。主な資産のなかで最も増えたのが銀行などへの貸出金だ。20年末時点で111兆円と2.3倍になった。

日銀は新型コロナ対応で企業の資金繰り支援を最重要課題に据えた。20年3月にゼロ金利で民間銀行に貸し出しの原資を供給する制度を導入。20年4月以降は各金融機関の利用実績に応じて日銀に持つ当座預金の残高に0.1%の金利をつけるよう制度を拡充し、日銀の貸出金は急増した。

資金繰り支援ではコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れ枠も大幅に拡大し、日銀の持つCPと社債は約2倍に増えた。こうした支援が奏功し、企業の資金繰りは依然として厳しいものの、倒産や失業者の急増は抑えられている。

資金繰り支援と並ぶコロナ対応として日銀は金融市場の安定を掲げる。コロナ禍で上場投資信託(ETF)を年12兆円まで買い入れできるようにした結果、日銀の持つETFは前年比25%増の35兆円(簿価)となった。20年の買い入れ額は約7兆円で過去最高だ。日銀の買い入れ効果もあり、コロナの感染拡大で株価が急落した3月に比べ東証一部全体の時価総額は130兆円程度増えた。日銀の保有するETFは時価で45兆円を超えているもようで、最大の日本株保有者になっている。

国債の残高も535兆円と11%増えた。特に償還まで1年以下の短期国債は41兆円と4.4倍に急増した。政府が新型コロナ対応で補正予算を組むため、短期国債を大量発行して日銀がこれを吸収した形だ。

各国中銀の総資産の増加率に着目すると、米欧は日銀(23%増)以上に急膨張した。米連邦準備理事会(FRB)は7.3兆ドル(約750兆円)で77%増、欧州中央銀行(ECB)は49%増の7兆ユーロ(約880兆円)にのぼる。

米欧との伸び率の差は日銀の政策余地の乏しさを映す。日銀は2%の物価安定目標に向け、金融緩和を長期間続けてきた。国債の大規模買い入れに加え、主要国ではどの国も実施していないETFの買い入れは開始から10年を超えた。日銀の総資産は国内総生産(GDP)の約1.3倍で、米欧をはるかに上回る。コロナ禍以前から経済を下支えする金融緩和に手をつけてきた結果だ。

コロナの感染拡大を抑え込んだ中国人民銀行は日米欧のように総資産を膨らませていない。危機時の金融政策余力は中国が最もあるといえる。

日本政府は2度目となる緊急事態宣言を検討する事態に追い込まれた。円相場は4日に一時、対ドルで10カ月ぶりとなる円高水準となった。再び日銀の政策期待が市場で高まる可能性がある。

黒田東彦総裁は「必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と繰り返すが、国債やETFなどの資産買い入れが大きくなるほど市場機能をゆがめる副作用も増す。経済が停滞するなかでの株高に資産バブルを懸念する声も上がる。日銀にとって21年は昨年以上に政策運営が難しい年になりそうだ。

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