鉄道遺構の高輪築堤、史跡指定に前向き 首相が視察
「本当に素晴らしいと感動した」
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菅義偉首相は29日、都内にある日本で初めて開業した鉄道の遺構「高輪築堤」を視察した。首相は視察後、記者団に「本当に素晴らしいと感動した」と述べた。史跡指定を巡り「文部科学省でいろいろ手続きがあるだろう。しっかり取り組んでほしい」と前向きな考えを示した。
「まさに文化遺産だ。しっかり次の世代にも引き継いでいくのが大事だ」と語った。「明治の錦絵に描かれている橋梁がそのままの形で存在する。当時の技術者は素晴らしい能力を持っていた」と評価した。
首相は萩生田光一文部科学相らとともに信号機跡や橋梁部を見て回った。現地付近で再開発を手掛けるJR東日本の深沢祐二社長や港区の武井雅昭区長の説明を受けた。

高輪築堤の遺構はJR東日本が2024年度の開業に向け工事を予定する再開発エリアで出土した。1872年に開業した日本初の鉄道の線路を敷設するため、海面を埋め立てて建設した。江戸時代から続く伝統的な石積みと明治以降の海外の技術を用いている。

近代土木遺産として評価する専門家らから遺構の保存を求める声があがっていた。JR東日本は今回首相が視察した信号機跡や橋梁部などを現地保存や移築で保存する方針を打ち出している。
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