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「台湾」を初明記 日EU首脳協議で共同声明

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EU首脳とテレビ会議形式で協議する菅義偉首相=内閣広報室提供

菅義偉首相は27日、欧州連合(EU)のミシェル大統領やフォンデアライエン欧州委員長とテレビ会議で協議した。とりまとめた共同声明で初めて台湾問題に言及した。中国による東シナ海・南シナ海での現状変更の試みに「強く反対する」と記した。EUが対中国政策に関与すると確認した。

日EU首脳の定期協議は2年ぶりで菅政権では初めてだ。4月の日米首脳会談や5月の主要7カ国(G7)外相会合の成果文書に書き入れた「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」との文言を踏襲した。

日本にとって、6月に英国で開くG7首脳会議(サミット)でも台湾問題を取り上げる流れをつくる意味がある。

両首脳は脱炭素で包括的な協力を進めるための枠組みとして「日EUグリーンアライアンス」の立ち上げで合意した。アジアなどの途上国支援や技術革新で連携する。

共同声明には東京五輪・パラリンピックの開催についても「支持する」と明記した。

両首脳はEUが9月までにまとめるインド太平洋戦略についても擦り合わせた。4月に発表した戦略の概略では中国に直接言及していなかった。

首相は中国による沖縄県尖閣諸島周辺での国際法に反する行動を改めて説明。EU側と自由で開かれた国際秩序に反する行動に「結束して声を上げていく」と確認した。

法の支配や民主主義といった価値観を共有する欧州がアジアへの関与を強めれば、日本の安保強化にもつながる。

欧州は中国との経済的な結びつきを重視し、地理的に離れていることから中国の権威主義的な動きへの懸念も日米に比べて弱かった。

中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧や、新型コロナウイルス感染初期における情報統制などを受け、中国への警戒感が広がった。

台湾問題への関心も決して高くはなかった。北海道大の遠藤乾教授は「EUは民主主義の共同体としてのアイデンティティーが強い」と指摘する。「民主主義の擁護をテコに、EUの視線を台湾に向ける外交努力の余地がある」とも語る。

欧州にとって南シナ海は貿易量の4割が経由する重要な海域にあたる。EUは「2030年までにインド太平洋地域で中産階級の人口が大幅に増える」と分析。魅力的な輸出先として関与を強めたいとの思惑がある。

自由なルールや秩序を乱す中国を看過すれば、成長市場の環境悪化につながりかねないとみる。

それでもEU内に温度差は残る。ドイツの自動車産業は4割が中国市場に依存する。中国と経済的な結びつきが強い東欧諸国にも「中国封じ込め」に関わることへの慎重論がある。

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