/

感染疑いで「宿泊拒否」可能に 自民が法改正提言へ 

事業者のコロナ対応支援 

自民党は観光業界の新型コロナウイルス対応を支援する法改正を検討する。旅館業法を改正してホテルや旅館が感染症の疑いがある人の宿泊を拒めるようにする。宿泊やツアーのキャンセルが発生した場合に旅行会社と宿泊事業者、輸送事業者らの間で負担配分する基準も設ける。

党観光立国調査会(林幹雄会長)が25日、党本部で観光業の法制度に関するワーキングチーム(WT、鶴保庸介座長)の初会合を開いた。5月にも政府への提言をまとめ、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映させる。

現行制度は宿泊拒否に厳格な要件を課している。旅館業法5条は「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」や違法行為などの恐れがある場合を除き「宿泊を拒んではならない」と定める。

「明らかに認められるとき」の解釈には明確な基準がない。厚生労働省は検査で新型コロナが陽性という結果が出れば、宿泊拒否が可能だと説明する。

発熱やせきなど感染が疑われる症状があるだけでは要件を満たさない。事業者側は混乱や悪評を避けるために予約客の宿泊を断りにくいのが実情だ。

他の宿泊客の感染防止策に苦慮する事例があり、いまの状況を放置しておけば宿泊施設で感染拡大が起きる懸念がある。

会合後、記者団の質問に答える武井俊輔WT事務局長(25日、党本部)

日本旅行業協会参与を務める越智良典・東洋大教授は「新型コロナのような外形的な症状が見えにくい感染症が発生した場合の対応は特に難しい」と指摘する。「他の宿泊者や従業員を守るためには宿泊施設が柔軟に対応できる法整備が必要だ」と強調する。

25日の会議は出席議員から「感染症の疑いがある人を受け入れざるを得なければ感染対策に逆行する」と法改正の必要性を訴える意見が出た。

別の出席者からは「今の制度だと宿泊を拒んだ施設は訴訟を起こされかねない。法律を根拠に拒否できるように変えるべきだ」と早急な是正を求める発言もあった。

旅館業法は1948年に施行された。宿泊拒否の要件が厳格な背景には、障害や出身を理由にした差別をなくす狙いがあった。

WTはこうした歴史的な経緯や予約した消費者の利益保護なども考慮したうえで、宿泊拒否を認められる基準を探る。

感染症が拡大する状況下で発生しやすいキャンセル料に関するルール整備も提言としてまとめる。

観光業はツアーを企画する旅行会社や宿泊施設、バスなどの輸送事業者などが協力して商品をつくる。キャンセル発生時の費用負担については現在の観光業関連の法律に明確な規定がなく、事業者間の個別の協議に委ねられる場合が多い。

WTは小規模な事業者が不利になる傾向があるとみて、公正なルールづくりを提起する。キャンセルがなければ得られたはずの事業者ごとの売り上げを算出する方法を定めるなどの案がある。

旅行会社が宿泊施設やバス会社から得る販売手数料の基準を明確にする仕組みの導入についても協議する。

WTの武井俊輔事務局長は会合後、記者団に「キャンセル料や手数料の決定基準を旅館業法などに規定し、多様な事業者が適正な利益を得やすいビジネス環境を整えたい」と語った。

観光業界に多い小規模事業者は新型コロナのような感染症拡大時に苦境に立たされやすい。WTは観光への依存度が大きい地方経済の衰退にもつながりかねないと判断し、事業者の経営安定を支える法整備をめざす。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン