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脱炭素・デジタルで成果、コロナ苦闘 菅内閣総辞職へ

菅義偉内閣は4日、発足から1年余りで総辞職する。脱炭素や行政のデジタル化、ワクチン接種など幅広い分野で手堅い成果を残した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う度重なる緊急事態宣言の発令・延長で政権の体力を落とした。

菅氏は2020年9月、当時の安倍晋三首相の突然の退陣表明後に、党内7派閥のうち5派閥からの支持を得て首相の座に就いた。7年8カ月の官房長官としての行政経験を踏まえ、携帯電話の値下げや不妊治療の保険適用といった具体策を積み上げた。

発足当初の内閣支持率は74%と歴代3番目の高水準を記録した。10月の所信表明演説では政権の成長戦略の骨格となる50年までの温暖化ガス排出ゼロとデジタル庁設置を表明した。行政のデジタル化のカギを握るマイナンバーカードの利便性を高め、普及促進を後押しする施策を進めた。

安倍政権が積み残していた懸案にも取り組んだ。75歳以上の医療費窓口負担の引き上げや、東京電力福島第1原子力発電所にたまる処理水の海洋放出を与党内の反発を押し切って打ち出した。

12月に新型コロナの感染者数が拡大した頃から内閣支持率が下落した。12月に観光需要喚起策「Go To トラベル」を全面停止し、21年1月に菅政権初の緊急事態宣言を発令した。新規感染者数が増えれば内閣支持率が下がる構図が定着し、その後、支持率が大きく回復することはなかった。

4月に訪米し、バイデン米大統領と主要国の首脳として初の対面会談を実現した。共同声明に「台湾海峡の平和と安定」を明記し、中国へ共同対処する姿勢を明確に示した。6月の主要7カ国(G7)首脳会議でも「台湾海峡の平和と安定」を盛り込んだ。

その後は7月開幕の東京五輪・パラリンピックの大会開催に注力した。菅氏はワクチンを1日100万回接種する目標を打ち出し、7月末までに65歳以上の希望する高齢者に接種を終える計画を描いた。

2つの目標はほぼ実現したものの、7月ごろから感染力の強いデルタ型が急拡大した。五輪は史上初の無観客開催に追い込まれた。大会中も過去最多の新規感染者が確認される異例の事態に陥り、支持率は一段と下がった。

8月22日、菅氏の地元である横浜市長選で側近の小此木八郎氏が落選すると、次期衆院選への危機感から党内で「菅おろし」が強まった。

当初検討していた9月前半の衆院解散は断念した。党役員人事の刷新も断行できず、総裁選の不出馬を余儀なくされた。ワクチン効果が表れ、宣言の解除決定に持ち込んだのは総裁選投開票の前日にあたる9月28日だった。

在任日数1年余り 衆院解散踏み切れず


菅義偉首相の在任日数は2020年9月の発足から退任する4日までに384日を数える。退任間際の9月28日の記者会見で「首相として様々なことに答えを出すのに1年は短すぎる」と振り返った。政権としての外交の継続性を問われて「一定の期間をやったほうが国益にかなう」とも言及した。
00年以降で首相に就任したのはのべ10人。在任日数が1980日を記録した小泉純一郎首相の後、12年末に安倍晋三氏が首相に就くまで1年程度で6つの政権が交代した。
国会議員の間では「長期政権後の内閣は短命」との評がある。7年8カ月続いた安倍政権を受け継いだ菅氏もこのジンクスを崩せなかった。
衆院議員の任期満了を間近に控えた時期での退陣でもある。菅氏は様々なシミュレーションをしていたと明かしたものの、衆院解散には踏み切れなかった。
00年以降で衆院を解散した首相は森喜朗氏ら5人だ。内閣支持率が低迷した麻生太郎、野田佳彦両政権下の衆院選は与党が敗北した。次期衆院選は4日に首相に選出される岸田文雄氏の下で迎える。
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