研究開発投資、5年で30兆円 科学技術の基本計画素案
脱炭素イノベーションや若手育成に力

政府は19日、首相官邸で開いた統合イノベーション戦略推進会議で、科学技術・イノベーション基本計画の改定素案をまとめた。2021年度から5年間の研究開発費の投資目標を30兆円に設定した。20年度までの5年間より4兆円増やす。脱炭素社会の実現に向けた技術革新などを後押しする。
官民あわせて120兆円規模の投資を目指し、若手研究者の育成にも力を注ぐ。名目国内総生産(GDP)比1%だった20年度までの投資目標から上積みする。
基本計画は20年度内に閣議決定する。5年ごとに改定しており新たな計画が6期目となる。
日本は米国や中国と比べ若手研究者の育成が遅れているとの指摘がある。計画は博士課程の大学院生のうち年180万円以上の生活費相当額を支給する割合を10%から30%に引き上げると記した。
10兆円規模を目指す大学ファンドも設ける。同会議の議長を務める加藤勝信官房長官は19日、タスクフォースを設置すると明かした。「実効性のある仕組みを構築し、世界トップクラスの研究大学へ力強い支援を進めてほしい」と指示した。
新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動による災害への対処のため、研究者の役割に期待が高まっているとも強調した。50年に温暖化ガスを実質ゼロにする目標に向け、効率的な廃棄物処理や資源の循環利用による「循環経済」を実現する方針も掲げた。