コロナの特措法改正「通常国会で」 自民・下村氏が主張

菅義偉首相は18日、首相官邸で自民党の下村博文政調会長と会った。下村氏は2021年1月召集の通常国会での新型コロナウイルスを含む新型インフルエンザ対策特別措置法と感染症法の改正を主張した。首相も「通常国会で改正すべきだと思っている」と答えた。
下村氏が党本部で記者団に明らかにした。具体的な内容は今後詰める。
加藤勝信官房長官は同日の記者会見で「通常国会での提出も念頭に置きながら、議論をしっかり進めていきたい」と話した。政府の分科会などで協議を進める。
これに先立ち、党新型コロナ対策本部(下村本部長)は党本部で会合を開き、感染拡大を受けた今後の取り組みについて党見解をまとめた。
下村氏は会合で「現下の状況に不安を抱く国民の皆様方に届くメッセージをしっかり発信し、政府に対応をお願いすることが大変重要だ」と述べた。
特措法と感染症法の通常国会での改正を明記し、見直しの方向性を提示した。
特措法では都道府県知事による緊急事態宣言に至らない段階での営業時間短縮などの要請に関し、法的根拠を明確にするよう唱えた。
現在は特措法24条の「対策の実施に関し必要な協力を要請できる」との規定に基づき実施している。「一定の法的枠組みを設けて実効性を高めることが必要だ」と訴えた。
感染症法を巡っては、無症状や軽症の患者向けのホテルでの宿泊療養などについて、国と自治体の権限を同法に定めるよう要求した。「位置づけが明確でなく、患者が自治体の要請に応じない場合が生じている」と懸念を示した。
感染者情報を一元管理するシステム「HER-SYS(ハーシス)」の活用も同法に書き込む。自治体間などで効率的に連携し、感染拡大への対応を強化する。
新型コロナは感染法上の「指定感染症」の適用期限が21年1月末に切れる。最長で2年間指定できるため、1年間の延長を求めた。さらなる感染の長期化に備えて「適切な対策を実施できるよう法的対応を講じる必要がある」と指摘した。
強制的な休業などの私権制限は慎重に検討する姿勢を打ち出した。「国民の権利の制約となる事柄の検討にあたっては必要性を十分に考慮することが必要だ」と強調した。休業要請に従った事業者への補償にも触れなかった。
党内には知事の要請に違反した場合の罰則をつくるなど強制力を持つべきだとの意見がある一方、緩やかな規制にとどめるべきだとの声もあった。