国家公務員に残業代「適切」支給 河野氏が1月に要請

国家公務員制度を担当する河野太郎規制改革相が1月に中央官庁の残業代の適切な支給を閣僚に要請して最初の国家公務員給与が支払われた。霞が関の各府省は長時間労働の常態化が問題になっている。残業代にあたる超過勤務手当が実態に即して支払われていないとの指摘がある。
河野氏は16日、自身のツイッターに「本日、霞が関の残業時間を厳密に反映した給与が支給されることになっている」と投稿した。「もしそうなっていない場合は内閣人事局に通報を」と呼びかけた。
ツイッターで国家公務員とみられる人による手当が増えたとの報告もあった。
加藤勝信官房長官は18日の記者会見で「徹底した業務の見直しと効率化、勤務時間管理のシステム化、さらには超過勤務そのものの縮減を進めてきた」と語った。「政府全体で国家公務員の働き方改革を進める」と強調した。

内閣人事局は2020年10~11月、河野氏の指示で国家公務員の正規の勤務時間外の在庁時間を調べた。結果をみると、20代総合職で3割、30代の15%程度が過労死ラインの目安となる月80時間を超えた。
河野氏は「データを見る限り、サービス残業がないとはおよそ考えられない」と指摘していた。
河野氏は1月の記者会見で「残業時間はテレワークを含めて厳密に全部付け、残業手当を全額支払う」と表明した。麻生太郎財務相の理解を得たとも説明した。
霞が関からの人材流出への危機感が背景にある。内閣人事局は自己都合を理由に退職した20代の国家公務員総合職が2019年度に87人いたとの調査結果をまとめた。6年前から4倍に増えた。
別の調査によると、退職の意向を持つ30歳未満の公務員の多くが「長時間労働で仕事と家庭の両立が難しい」と答えたという。
長時間労働の実態を正確に反映した残業代の支払いは新たな財政負担につながる恐れもある。超過勤務そのものをなくす取り組みが不可欠だ。各府省に加え、質問の答弁作成に関する議員とのやりとりなどで国会側の協力も必要になる。