最賃一律化へ増額分助成 賃上げ地方企業に 自民議連提言
自民党の「最低賃金一元化推進議員連盟(衛藤征士郎会長)」は15日、国会内で開いた会合で政府への提言をまとめた。最低賃金を上げた地方企業を対象に、増額分の給与や社会保険料の支払いを直接助成する施策の検討を求める。近く菅義偉首相に提出する。
新型コロナウイルス禍を東京一極集中の是正につなげるため、最低賃金の全国一律化は「不可欠な政策だ」と記した。政府・与党が対策を検討する場を設けるよう促す。
最低賃金は企業が従業員に払う必要がある最も低い時給をさす。日本は地域で異なり2020年度の最高額の東京都と最低の鳥取県などとの差は221円だった。提言は地方に移ると所得が減る現状は「移住の意思をくじく」と指摘した。
最低賃金は厚生労働省の審議会が1年に1度示す目安をもとに各都道府県が引き上げ額を決定する。提言はこの決め方に関し「根本的な制度の再検討へ踏み出すことを求める」と唱えた。具体策には触れなかった。
首相は10月の所信表明演説で「地方の所得を増やし、消費を活性化するため最低賃金の全国的な引き上げに取り組む」と表明した。提言は「全国を通じてデフレから抜け出るためには最低賃金の引き上げと全国一律化は切り札だ」と訴えた。
最低賃金に関し米国は全国一律と州ごとの制度を併用し、英国やドイツ、フランスは全国一律の仕組みを導入している。