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ESG投資、2021年の注目点は 日米大手投資家に聞く

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投資を考えるうえでESG(環境・社会・企業統治)はもはや無視できない要素になっている。2020年には新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)を受け環境や社会問題への関心が高まった。世界各国が温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、環境対応を加速させていることも後押しになる。21年も拡大が予想されるESG投資の注目点は何か。日米の大手投資家に見方を聞いた。

米運用大手ヌビーン責任投資統括 エイミー・オブライエン氏


――2021年のESG投資の見通しを教えてください。
「20年の流れが続くだろう。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動、米国などでの格差問題が注目を集め、環境や社会に配慮した投資への関心が高まった。景気後退局面だがESG投資の運用成績はよく、資金も流入している。ESGの役割をみなが理解したと考えている」
――主要国が脱炭素を目指すと宣言しました。投資戦略への影響は。
「株式、債券、不動産など全運用資産にESGを適用する方針だ。気候変動に関連した投資機会はすべての業種にある。再生可能エネルギーやエネルギー効率向上の取り組みは代表例だ。エネルギー企業でも二酸化炭素(CO2)を回収・利用・貯留するCCUS技術などに投資して50年の排出実質ゼロを目指す動きが出ている。私たちの投資対象にもそうした企業はある。脱炭素につながる技術の研究開発にも今後、多額の資金が投入されるだろう」
「不動産投資でもESGは重要な要素だ。ビルはエネルギー使用量が多く、CO2排出量も多い。ビルに投資する際は、たとえば太陽の光を感知すると暗くなるガラスの活用など、エネルギー効率の向上を重視している」
――債券市場はどうでしょう。
「気候変動関連ではトランジションボンド(移行債)が重要だ。温暖化ガス排出量の多い企業は排出量を減らしてグリーンになるのに時間がかかる。移行債は、事業構造を変革しグリーン化を進めたい企業にとっての手段となりうる。発行も増えるだろう。ただ、気候変動にポジティブな影響を与えるグリーンボンド(環境債)とはしっかり区別する必要がある」
「昨年はE(環境)だけでなくS(社会)への関心も高まった。債券市場ではソーシャルボンド(社会貢献債)などで新型コロナの復興資金を調達する動きが広がった。投資家の関心は高く、今年も注目を集めそうだ」
――対話(エンゲージメント)を通じて企業に求めることは。
「企業との対話でも気候変動は最優先課題だ。昨年は世界で80社と対話したが、今年は日本企業だけでも70社と対話する予定だ。上場株投資では米国株に次いで日本株の保有が多い。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示の拡充のほか、取締役会や経営陣による気候変動リスクの監視強化、温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』の目標に沿うCO2削減目標の設定を要請する」
「日本企業に対しては取締役会の多様性の確保も求めていく。特に女性取締役を増やすよう働きかける」
――国との対話もしていますね。
「世界各国でESG関連の政策立案が進み、国との対話の重要性は増している。昨年、米国ではESGに懐疑的な規則案の取り下げを求めた。欧州連合のグリーンボンド基準にも意見を出した。各国の政策への関与を強めるため、対話チームを拡充する。日本政府との対話の実績はまだないが、今後、日本でも積極的に活動したい」
(聞き手はESGエディター 松本裕子)

GPIF投資戦略部次長 塩村賢史氏


 ――2020年はESGにとって大きな転換点となる1年でし...

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