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英EU首脳、再協議で打開探る EU交渉官「9日が期限」

(更新)
英ロンドンで、2021年1月のEU単一市場からの本格離脱に向けた準備を企業に促す掲示板(4日)=ロイター

【ロンドン=中島裕介、ブリュッセル=竹内康雄】英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉は、合意か決裂かを最終判断する時期が迫ってきた。EU側の交渉官は加盟国の大使などに9日が事実上の交渉期限になると伝えた。ジョンソン英首相とEUのフォンデアライエン委員長は7日夕に再び電話協議に臨むが、妥協点を見いだして合意に至るかは不透明だ。

EUのバルニエ首席交渉官は7日、欧州議員や加盟国の大使に「依然として漁業権など3分野の問題は解消されていない」と伝えた。英紙フィナンシャル・タイムズは関係者の話として、バルニエ氏が9日が事実上の交渉期限だと語ったと報じた。欧州メディアによると出席者の一人は「やや悲観的な言い方だった」と述べた。

交渉はEUを離脱した英国が加盟国と同等に扱われる12月末までの移行期間中に、自由貿易協定(FTA)で合意し、関税ゼロの貿易などを維持できるかが焦点だ。交渉が決裂して「FTAなし」となれば、年明けの急な関税の復活など経済活動の混乱が避けられない。

英EU首脳が5日に交渉継続を決めたのを受け、6日午後から首席交渉官級の協議が続いたが、なお膠着は解けないもようだ。事態の好転を期待していた市場関係者の失望を誘い、7日の外国為替市場では英ポンドが対ドルで一時1%超下落した。

全く歩み寄りがないわけではない。6日夜には複数の英メディアがEU筋の情報として、3つの対立点の一つである漁業権の問題で「打開があった」と伝えた。

英国のEU離脱前はフランスなど加盟国の漁船が、一定の漁獲割り当ての範囲内で英海域で自由に操業できた。英側は移行期間終了後には、EUと毎年交渉してEU側の漁獲割り当てを大幅に減らすなど、英海域での漁業の主導権の奪還を訴えてきた。EUは現状に近い英海域での操業を求めていた。

6日夜までに両者は激変緩和期間を設けて、段階的にEUの漁獲割り当てを減らす方向で最終調整に入った。だが英紙ガーディアンによると、英国側が土壇場で英海域で操業できるEU漁船の条件を狭め、漁業権の合意が遠のいたもようだ。

漁業権の問題以上に紛糾しているのが、移行期間後も英国が産業政策でEUルールに合わせる「公正な競争環境の確保」と、紛争解決などの「ガバナンス」の2点だ。EUは英国が関税ゼロでEU市場から恩恵を受けるなら、将来にわたり税や雇用などの制度をEUルールに合わせるよう求める。英国はEU離脱の理念だった「主権の回復に反する」と訴える。

特に英国が過度に企業に政府補助金を配るなど、約束違反があった場合の対応で両者は争っているもようだ。EU側は英国が約束違反すればFTAの一部停止などができる条項を求めているとみられる。

仮に英・EUが一両日中に対立点で折り合えればEU側は10日からのEU首脳会議の場でFTA合意を承認。14日の週以降に英・EUの双方の議会で批准する道筋が描ける。

逆に9日まで目立った進展がなければ、それ以上の交渉継続は難しくなる。フランスなど数カ国は「FTAなしの準備も加速すべきだ」とEU首脳に圧力をかけている。アイルランドのマーティン首相は7日、記者団に「FTAなしに終われば、双方の経済は不必要な苦痛を味わうことになる」と合意の必要性を訴えた。

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