住友林業最高顧問 矢野龍(25)女性活躍
立ち遅れ挽回へ意識改革 総合職採用開始、抜てき人事も
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話が前後するが、社長になって6年目の2004年に女性の業務企画職(一般に言う総合職)の採用を始めた。大企業ではずいぶん遅い方ではなかっただろうか。すぐには人も育たないから、ほどなく幹部候補として女性の中途採用も始めた。
僕は住友林業をもっと良い会社にしたいといつも思っていた。
木を植えて育てる植林が祖業の住友林業は、二酸化炭素(CO2)の排出量がマイナスの会社だから、最近は環境保護などの観点から...

住友林業で社長、会長を歴任し、最高顧問を務める矢野龍さんは1940年、旧満州(現中国東北部)で生まれました。敗戦で山口県に引き揚げ、自由気ままに育った自然児で、高校も大学の入試も合格点すれすれだったといいます。縁あって公立の北九州大学外国語学部に入学し、実用英語を学んだことで住友林業が初めて募集した海外駐在員枠で採用されました。入社4年目、矢野さんは米シアトルの駐在員として北米大陸の森林地帯をヘリに乗り、水を得た魚のように飛び回ります。もっとも米国住友林業の責任者として2度目のシアトル駐在時には、現地で訴訟の当事者となり、辛酸をなめる経験もしました。大企業の経営者としては異色の道を歩み、人間味あふれる矢野さんが住友林業の未来までをつづった読みどころ十分の連載です。