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脱炭素実現を後押し 「やれること」迅速に

NIKKEI脱炭素(カーボンZERO)委員会 第2回円卓会議

日本経済新聞社は、脱炭素社会の実現を確実にサポートするための「NIKKEI脱炭素(カーボンZERO)プロジェクト」の一環で、NIKKEI脱炭素(カーボンZERO)委員会の第2回円卓会議を6月下旬に都内で開いた。あわせて環境問題に取り組む学生らの団体との第1回ユース対話会も実施した。脱炭素対策は気候変動の顕在化で切迫感が急速に増しており、中長期の目標設定に加え、迅速に「やれること」に取り組むことが欠かせない。

委員会は専門家9人で構成、参画企業11社も出席した(6月、都内で)

分科会設け議論深める

第2回円卓会議では、新たに脱炭素プロジェクトに参画した企業3社によるプレゼンテーションに続き、今後の提言取りまとめに関する作業手順などを確認。2つの分科会を設け、議論を深めていくことも確認した。

afterFIT(東京・港)、JERA、みずほ銀行が加わり、プロジェクトの参画企業数は合計で10社を超えた。

円卓会議に先立ち、事務局が各委員・企業にヒアリングシートを送り意見を集約したところ「2050年の脱炭素社会というのがどういう社会なのか。そこにどういった道筋や方法でたどり着くのかという点に関心が高いことがわかった」(高村ゆかりNIKKEI脱炭素委員長)。とりわけエネルギー、街づくりに関する問題意識が高い。

また、こうした社会変革を実現するための金融のあり方も焦点になる。事業として資金調達をどうするかということに加え、金融機関としてどう支援するか、目的実現のためどういった金融の政策や仕組みが必要かといった観点も含まれる。

こうした論点整理を踏まえ、田中謙司、田中加奈子の両委員が「2050年カーボンニュートラル実現後の社会像」をテーマにそれぞれ話した。その後、委員や企業代表の間で提言取りまとめや議論の方向性について活発に意見交換した。

委員、企業代表の間で活発な意見交換があった

分科会は「VISION2050」と「金融」の2つを設置し、7~8月に数回ずつオンラインで開催する。VISION2050分科会は高村委員長を座長に、50年の社会のあり方を話し合う中で、脱炭素社会を実現するのに避けて通れないエネルギー関連の問題についても議論する。

金融分科会は水口剛委員(高崎経済大学学長)を座長に、社会変容を起こすために必要な金融の役割について議論する。金融機関の話だけでなく政策も議題にする。

分科会では提言取りまとめに向けた議論を深めると同時に、内容を包括的にするのか、それとも焦点を絞るのかといった情報発信のやり方についても討議する。

提言策定、国内外に発信へ

日本経済新聞社が取り組む脱炭素プロジェクトでは、専門家9人で構成するカーボンZERO委員会が中核を担い、21年度を通じて円卓会議を定期開催する。第1回は4月下旬に開いた。会議にはプロジェクトに賛同した企業も参加している。脱炭素社会の実現を確実にするため、独自の提言を目指している。

提言などプロジェクトに関する情報発信には、英フィナンシャル・タイムズを含む日経グループの資産を活用する。

分科会での議論を9月の第3回円卓会議に持ち寄り、その成果を提言としてまとめ、10月に開くシンポジウムで国内に広く発信する。脱炭素の課題に関する多様な議論を通じ、社会の関心や世論喚起など、国民全体の意識改革を後押しする。

また、英グラスゴーで10月末から開催される第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)にあわせ、11月には現地で関連イベントを開き、プロジェクトの成果を世界に直接発信する計画だ。「日本企業の様々な取り組み、問題意識を日本のみならず、英国、そして世界に発信していきたい」(高村委員長)

脱炭素に向けた産業界の取り組み加速を促すため、日経リサーチによる大規模な企業イメージ調査も実施する。調査では、企業の脱炭素に関する取り組みについて外部評価を測定する。一部のステークホルダーには脱炭素の取り組み実態や意識についても聴取する。

具体的には、各企業の脱炭素への取り組みがどれだけ浸透しているか一般やビジネスパーソンを対象に調べるほか、脱炭素が企業価値向上と結びつくか評価する投資家調査、約800の自治体に脱炭素に向けた目標や取り組み、脱炭素社会を目指す上で必要な技術・サービスを持つ企業を聞く自治体調査を実施する。

また、グローバルの視点から米国と英国のビジネスパーソンに対し、脱炭素に関する意識調査も実施する予定だ。 調査は夏から秋にかけて順次進め、結果は年明け以降の公表を目指す。

参画企業コメント

再生エネ普及へ注力 afterFIT CCO(チーフコミュニケーションオフィサー) 前田雄大氏

社名は再生可能エネルギーのFIT(固定価格買い取り制度)の後という意味だ。「脱炭素を日本に広げていきたい」と谷本貫造社長が思いを込めた。2016年の創業で、再生エネを上流から下流まで扱っている。

太陽光発電所の開発、設計・調達・建設、保守管理、風力発電所の開発、グリーン電力の小売り、グリーンエネルギーに関するメディアなどを手がけている。約370人の社員がおり、国内に18カ所の本支店を持つ。

脱炭素に向けグリーン電力の上積みが求められており、当社の強みが生かせる。衛星データと人工知能(AI)で太陽光や風力の適地を調べ開発する。グリーン電力が高いと考える企業は多いが、当社の電力は従来電力と同じ料金だ。脱炭素への理解を深めてもらうサイトも運営する。

排出ゼロの発電めざす JERA副社長執行役員 奥田久栄氏

JERAは東京電力と中部電力の燃料・火力発電事業、海外発電事業を統合した会社だ。2015年の設立から順次事業を統合し、19年に本格スタートを切った。日本の発電量の約3割を占めて国内最大、液化天然ガス(LNG)の取扱量では世界最大規模だ。

20年10月に脱炭素戦略「JERAゼロエミッション2050」を発表した。①再生可能エネルギーとゼロエミッション火力の相互補完②国・地域に最適なロードマップの策定③スマート・トランジション――が柱だ。

非効率な石炭火力は30年までにすべて停廃止する。代わりに二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアや水素を燃料に使う。国・地域に応じた脱炭素への処方箋をつくる。できることから始め、最新技術を取り入れる方が地球のためになる。

投融資先の脱炭素支援 みずほ銀行サステナブル・ビジネス推進室室長 角田真一氏

脱炭素への動きが非常に加速しており、組織体制を強化している。大企業・金融・公共法人カンパニーに2020年4月、サステナブル・ビジネス推進室を設置した。

21年5月に脱炭素の観点から気候変動への取り組み強化を発表した。炭素関連セクターのうち高リスク領域を定義し、脱炭素社会への移行の支援を強化している。ダイベストメント(投融資の引き揚げ)ではなく、エンゲージメント(投融資先への関与・関係)を通じ、脱炭素社会に向けた産業構造変化にお客さまとともに取り組んでいく。

取引先企業は脱炭素を進めるため、事業構造を見直したり事業ポートフォリオを入れ替えたりする。我々は脱炭素への産業知見や経営戦略といった非金融分野を含め、トランジション・ファイナンスで貢献していく。

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