マンガ家 里中満智子(2)両親
「子より夫」の母と優しい父 小学生のころから自立心
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父、道雄の幼い頃の写真を見ると、どれも半ズボンにジャケットなどの洋装である。1913年(大正2年)生まれにしては、ずいぶんハイカラだ。父だけではない。周囲にいる父の妹も、白いドレスにレースのパラソルを手にしている。フォードの自動車やハーレーダビッドソンのオートバイまで見える。
お伊勢参りの観光地として栄えた三重県・二見浦(ふたみのうら)駅のそばにある料亭の長男として父は育った。裕福な家で、新しい...

マンガ家の里中満智子さんは高校生時代に鮮烈なデビューを飾って以来、第一線で活躍し続けています。団塊世代に生まれ、厳しい母親からは「試験で一問でも間違えたら集めた漫画を捨てる」と言われながらも反対を乗り越えてプロの道に。「アリエスの乙女たち」「天上の虹」といったヒット作を生み、あまりに多忙な日々を送る中で、様々な苦悩や子宮頸(けい)がんなどの病気とも向き合ってきました。手塚治虫や石ノ森章太郎ら巨匠たちとの交流は日本のマンガ史そのものともいえる興味深いエピソードばかり。現在は日本漫画家協会理事長を務め、奮闘を続ける里中さん。日本の漫画が「クール・ジャパン」として世界的な評価を受けるはるか前史から、大きく広がるマンガ界の未来までを展望する読みどころたっぷりの連載です。