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静岡でウィズコロナ型の演劇祭 全出演者マスク着用

静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「ふじのくに せかい演劇祭」が4月24日、静岡市で開幕した。連休恒例の催しを新型コロナウィルス感染症対策のため、全公演野外、全出演者マスク着用で上演する方式とした。実演の限界に挑む「ウィズコロナ」型の演劇祭となった。

静岡市街の駿府城公園に、ふたつの仮設劇場が登場。ひとつは約200席収容で、初日に日本人キャストの「野外劇 三文オペラ」(ブレヒト作)を上演。声の通りにくい野外でマスクを着用をすると、歌やせりふはいっそう聞き取りにくい。パンチ力の不足は否めなかったが、重機の油圧ショベルで処刑場面を表現するなど野外ならではの趣向を生かし、役者の身体が躍動する演劇の魅力を印象づけた。

野外空間で客席の間を開けると、屋内劇場にない安心感がある。生身の役者と観客とが出会うことに演劇の本質があると野外劇は改めて実感させるものだ。オンラインの画面で稽古したイタリアの演出家コルセッティは、上演をコロナ禍で高まる孤独や不安を乗り越える「解毒剤」に見立てていた。

来日公演が難しいことから今年の規模を縮小、「野外劇 三文オペラ」のほかは専属劇団SPACの2作のみが主要プログラムとなった。日本平北麓の野外劇場「有度」で「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」(唐十郎作)、駿府城公園のもうひとつの野外劇場(約500人収容)で海外で絶賛されたギリシャ悲劇「アンティゴネ」(5月5日まで)を、いずれも芸術総監督、宮城聡の演出で上演。市街では「ストレンジシード」という演劇とダンスのパフォーマンスが例年にならい行われる。

役者はマスクをつけると、呼吸や発声に負荷がかかる。全員マスクの舞台は、演劇専攻大学生による卒業公演でしか見たことがない。この演劇祭は昨年、オンライン配信のみに追いこまれた。東京や大阪で緊急事態宣言が発令されるなか、今年は身体性の回復に向けた切実な思いを映しだす演劇祭となった。

(内田洋一)

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