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G20の機能不全、どうなる? 民主・強権国家で分断深く

「国際的な協調の枠組みであるG20(20カ国・地域)が機能不全に陥っていると聞いたよ」「ロシアのウクライナ侵攻で国際社会の結束が今こそ必要なのに、これからどうなるのかな」

G20を巡る状況についてバーチャルキャラクターの名瀬加奈さんと日比学くんが、永沢毅編集委員に聞きました。

名瀬さん「G20はどうして存在意義が問われているの?」

G20は日米や英国などでつくる先進国の主要7カ国(G7)に、中国やロシア、インドなどの新興国を加えた20カ国・地域で経済問題を中心に議論する多国間の枠組みです。財政政策を担う財務相と、金融政策を統括する中央銀行総裁が出席したG20財務相・中央銀行総裁会議を1999年に開いたのが始まりです。

4月下旬に米首都ワシントンで開いたG20財務相・中央銀行総裁会議は大荒れでした。ロシアのウクライナ侵攻を受け、会議に先立って米国や英国などがG20からロシアを排除するよう訴えたのです。ロシア代表団はそれでも参加したので、米英など一部の国がロシアの発言時に退席する事態がおきました。

現在、世界経済はエネルギーや食料価格の高騰、新型コロナウイルスによる打撃からの回復など課題が山積みです。これらへの処方箋も十分に打ち出すことができませんでした。

日比くん「ウクライナ侵攻やコロナ以前は成果があったんだよね」

2008年のリーマン・ショックで世界経済が悪化したのを受け、同年秋にはG20による首脳会議(サミット)が初めて催されました。金融危機の克服に向けて協調行動をとることで一致し、マクロ政策の協調や金融規制の強化など幅広い分野で合意することができました。「国際経済協力に関する第1の協議の場」と位置付けられています。

中国はG20サミットと相前後して4兆元(56兆円)にのぼる巨額の景気対策を打ち出し、危機克服の一翼を担いました。世界の国内総生産(GDP)の8割ほどを占めるG20がまとまった対応をとり、世界経済の下支えに貢献したといえるでしょう。

名瀬さん「G7のようにロシアを除外することになるのかな」

そう簡単にはいかないようです。G7は14年、ウクライナのクリミア半島併合宣言を理由にロシアを締め出しました。民主主義や人権といった価値観を共有する先進国クラブであるG7は結束した行動をとりやすい面があります。

G20は共産主義の中国やイスラム国家のサウジアラビア、指導者が強権的なトルコといったように顔ぶれが多様です。差はありますがロシアと関係が近い国も多いです。

22年の議長国を務めるインドネシアは11月に主催するサミットにロシアのプーチン大統領を招待しています。東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10カ国で人口が最大のインドネシアは伝統的に米国や中国、ロシアといった大国とバランスを考慮した外交方針をとっています。

日比くん「国際的な課題にはこれからどう対処すればいいのかな?」

近年のG20は米中対立のあおりでほころびが目立っていました。「米国第一」を掲げたトランプ前米大統領は多国間の協力枠組みを軽視していました。そこにウクライナ侵攻が加わり、民主主義陣営を代表する米欧と強権的な中ロの溝は覆い隠せなくなっています。

G20はロシアへの制裁でも賛同するG7などと、反対や慎重姿勢を示す中国やインドなどに二分しています。気候変動や感染症といったテーマごとに有志国が集まって対処するのも一案ですが、それでも先進国と新興国の協調なしには十分な対策を示すことはできません。当面は試行錯誤が続きそうです。

2国間会談の場に活用も

首脳が一堂に会するG20サミットは各国が2国間会談の場に活用する機会ともなってきた。相互訪問などでわざわざ2国間会談を設定するよりも、国際会議をとらえて会談するほうがハードルは低いためだ。

対面式の米中首脳会談が最後に実現したのは19年6月に大阪で開いたG20サミットだ。このときは米ロ首脳も会談している。

ロシアのG20排除は米ロ首脳が自然な形で顔を合わせる場を奪う。長期化の兆しがあるウクライナ侵攻の出口を探る対話の道を閉ざしかねない側面があることも留意する必要がある。(編集委員 永沢毅)

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