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[社説]台湾で大敗の与党民進党は真摯な反省を

2024年台湾総統選の前哨戦である統一地方選挙で、与党・民主進歩党(民進党)が大敗した。投票があった21県市のうち、わずか5首長しか確保できなかった。蔡英文総統は民進党主席(党首)の引責辞任を表明した。与党として真摯に反省する必要がある。

中国と距離を置く民進党は20年総統選で大勝し、蔡政権も2期目に入った。だが4年前と同様に地方選で失速した。台北市長選では、野党国民党の若手で蔣介石元総統のひ孫に当たる蔣万安氏が大差で勝利した。

民進党は1年2カ月後の台湾総統選に向け態勢立て直しを迫られる。大きな課題を問う総統選の構造は地方選とは異なる。全く逆の結果が出る例も多い。とはいえ、地方の民意をきめ細かくくみ取ることで国民党に後れを取ったのは確かだ。台湾政局に不透明感が漂うことは、中台関係や米中関係を考えるうえでも気がかりだ。

国際的に関心の高い中台関係は米中対立も絡み緊張状態にある。8月の米下院議長の訪台で、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習に踏み切り、日本の排他的経済水域(EEZ)にも中国のミサイル5発が着弾した。中台の緊張は日本の安全保障に直結する。台湾海峡の平和と安定は極めて重要だ。

3期目入りした習近平・中国共産党総書記(国家主席)は「台湾への武力行使を放棄する約束は決してしない」と明言した。蔡氏は一貫して中国側を刺激する言動を避けてきた。「現状維持」を望む台湾の民意を勘案した穏健な対中政策は評価できる。

今回の地方選の結果は、台湾世論が中国の圧力に屈したことを意味しない。中国は力の誇示が台湾の中国離れを促してきた歴史を忘れるべきではない。

任期4年の台湾総統が再選できるのは1度限りだ。民進党では、次期総統選の後継候補として現副総統の頼清徳氏の名などがあがっている。党勢回復のきっかけをつかんだ国民党の候補らとの間で、対中政策、経済政策を巡る議論を深めるべきだ。

台湾の選挙結果で改めて評価したいのは民主主義が定着し、機能していることである。バランス感覚を示した民意は政治に緊張感を与えている。今後も政権を選択できる自由で公正な政治体制を磨いてほしい。これは長い目でみて、自由主義社会との距離が広がっている中国の民主化に寄与する。

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