衰退する日本の中間層(7) 難しくなる住宅資産形成
駒沢大学准教授 田中聡一郎
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今回は、ライフサイクルの観点からみた中間層の経済的安定性を考えます。
これまで日本社会では、中間層の家計は住宅資産の形成を通じて、ライフサイクル上での経済的安定性を図ると想定されていました。すなわち、中間層は所得水準が高い現役期に住宅を購入し、高齢期の年金生活に備えると考えられてきたのです。政府にとっても、住宅所有は高齢者の経済的基盤となり、将来の年金給付の十分性を高めるうえで望ましいものでした...
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