民主主義左右する海底通信網 戦時下で繰り返される切断
客員論説委員 土屋 大洋
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1927年9月、ソ連のウラジオストク日本総領事から外相に打電があった。フランス・パリで定められた海底ケーブル保護条約に関連し、労農赤軍の陸海軍が命令を出しており、それを翻訳したのでよろしく取り計らってほしいという内容である。外相は田中義一、労農赤軍とはソ連の軍のことだ。
ウラジオストクと長崎を結ぶ海底ケーブルは1871年に敷設されている。ソ連軍の命令は、そのケーブルが切断されないよう、不必要に海...