国内広告費、21年度は10.4%増
ネットけん引、日経広告研予測
日経広告研究所は2021年度の広告費予測を見直し、前年度に比べ10.4%増えると発表した。2月時点は5.3%増だった。新型コロナウイルス感染の先行きは不透明だが、景気回復を背景に企業は広告出稿意欲を強めている。インターネット広告が一段と成長し、全体を引っ張る。20年度の16.1%減から回復する。
インターネット広告の伸びは20年度の3.6%から21.1%に高まる。電子商取引やゲームなど、巣ごもり需要で成長している業態は、インターネット広告と親和性が高く、コロナ下でも積極的に広告を出稿している。ワクチン普及により感染が一段落しても、この傾向は続くとみられる。
広告費予測は経済産業省の特定サービス産業動態統計を基にしている。経産省は3月、調査対象の広告会社を見直し、過去にさかのぼってデータを修正。20年通年のインターネット広告は約2700億円増額された。
テレビ広告は9.8%増と20年度の12.6%減から回復する。前年度に落ち込んだスポット広告の需要が反動により増加する。東京五輪が予定通り開催されることも伸びを支える。
新聞広告も20年度に17.9%落ち込んだ反動から、21年度は5.9%増える。衆院選に伴う広告需要が期待される。ラジオ広告は21年度に2.7%増を見込む。
雑誌広告は20年度の38.1%減に続き、21年度も7.7%減が見込まれ、マスコミ四媒体の中で唯一マイナスとなる。週刊誌と月刊誌の定期誌の販売低迷が響く。出版社が紙媒体からデジタル媒体へのシフトを進めている要因もある。