マンガ家 里中満智子(29)後輩たちへ
不当な契約には注意を 力あわせ、訴える場が必要
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連載作品が単行本にまとめられて出版されるのが当たり前になりつつあった1970年代。まだまだ少女漫画を少年漫画より一段下に見る人はいて「可愛(かわい)い絵さえ描ければ少女マンガ家は通用する」と、堂々とのたまうおじさんも存在した。
「少女漫画」の繊細で多層的な心理描写に触れもせず、表面だけを見る男性たちが世の主流を占めていたのだ。
そんな時代に「単行本にまとまる」ということは「雑誌の読者以外の人にも...

マンガ家の里中満智子さんは高校生時代に鮮烈なデビューを飾って以来、第一線で活躍し続けています。団塊世代に生まれ、厳しい母親からは「試験で一問でも間違えたら集めた漫画を捨てる」と言われながらも反対を乗り越えてプロの道に。「アリエスの乙女たち」「天上の虹」といったヒット作を生み、あまりに多忙な日々を送る中で、様々な苦悩や子宮頸(けい)がんなどの病気とも向き合ってきました。手塚治虫や石ノ森章太郎ら巨匠たちとの交流は日本のマンガ史そのものともいえる興味深いエピソードばかり。現在は日本漫画家協会理事長を務め、奮闘を続ける里中さん。日本の漫画が「クール・ジャパン」として世界的な評価を受けるはるか前史から、大きく広がるマンガ界の未来までを展望する読みどころたっぷりの連載です。