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尾上菊五郎 忠臣蔵六段目の勘平「難役中の難役」

「何度やっても、難役中の難役ですね」。「仮名手本忠臣蔵」の六段目、早野勘平の腹切の場について、歌舞伎俳優の尾上菊五郎は語る。間違えて舅(しゅうと)を殺してしまったと知った早野勘平が、己の不運を嘆きながら死んでいく。しかし最後に誤解が解け、あだ討ちを志す赤穂浪士四十七士に名を連ねる。歌舞伎の中でも屈指の人気作だ。緊急事態宣言が解除されれば、歌舞伎座(東京・中央)5月公演第2部で、この役に15回目の挑戦をする。

喜びから絶望、そして救いへと刻々と変化する心理や、切腹した状態での長いセリフなど、俳優ごとにさまざまな工夫をする役だが、それだけでなく「何しろやることが多い。最初のころは、よく頭がこんがらがったものです」。例えば「白塗りをする面積が大きい。切腹をするので腹や脚にもしっかり塗ります。また、カツラだけで三段階あって、少しずつ変えなくてはいけないし、キセルや手拭いといった小道具の扱い方を少しでも間違えると段取りがおかしくなる。血のりをちょっとでもカツラなどに付けてしまうと、それも後で困るんです」。ベテランならではの苦労談を明かす。

5月の歌舞伎座は例年は「団菊祭」と銘打って、市川団十郎や菊五郎の家の芸を上演するのがならいだ。しかし新型コロナウイルスの影響で、昨年は公演自粛。今年は「祭」とはせずに、自らの「音羽屋」にゆかりの芝居を多く披露する予定だ。自らの勘平の芝居のほかに、第1部で「三人吉三」「土蜘(つちぐも)」、3部で「春興鏡獅子」が上演され、若い世代が挑戦する。

長男の菊之助の岳父で3月末に入院した中村吉右衛門については「奥様から電話をもらって、病名が分からないと聞きました。心配ですが、きっと治って舞台に戻ってきてくれると信じていますよ」。

(瀬崎久見子)

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