山﨑努 私の履歴書(11)映画出演
俳優
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劇団に所属する俳優の映画・テレビ出演をマネジメントする女性がいて、なぜか僕を気に入ってくれた。チーちゃんといった。30歳前後、江戸弁の気風のいい人で、「この子は目がいい、生きのいい目をしてる」と言う。岸田今日子さんが「魚じゃあるまいし」と笑っていた。
今日ちゃんは大先輩だが、入団してすぐに仲良くなった(以来、彼女が亡くなるまでの50年近く、大切な友人として、かけがえのない相手役として、親しくお付...

山﨑努さんは演劇、映画、テレビで幅広く活躍してきた名優です。舞台俳優として『冬のライオン』『ヘンリー四世』など数々の傑作を残しました。映画『天国と地獄』『お葬式』、ドラマ『早春スケッチブック』『必殺仕置人』などでご存じの方も多いでしょう。近年は味わい深いエッセーもものしていますが、自身の半生をまとまった形で振り返るのは初めてです。貧しかった少年期から養成所時代を経て、俳優として成長していく過程を、自身の演技論、俳優論と重ねる形でつづります。1960年代から今日までの演劇史と映画史の貴重な証言でもあり、数多くの俳優、作家、映画監督らが登場します。